飯能市メガソーラー疑惑

阿須山中サッカー場問題解説 by azneko

【歴史解読】飯能市、市長、市議会と公社と

 「飯能市議会会議録」、市長ブログ「はんじょう日記」、新聞など公開情報に基づいて、阿須山中土地有効活用事業(メガソーラー&サッカー場開発)に至る歴史の概要を記す。

1992年(H4)

 飯能市土地開発公社飯能市阿須山中(加治丘陵の一角)を含む阿須周辺の土地を自然公園整備目的で購入した。前年から2年間での取得完了。阿須山中17ha取得金額14億4千万円(小山誠三市長)

2005年(H17)1月1日

 旧入間郡名栗村飯能市編入 大久保勝現市長、村議から市議に。同年4月市議2選、2009年4月市議3選。

2005年(H17)4月1日

 森林文化都市宣言(沢辺瀞壱市長)

2011年(H23)6月以降

 東日本大震災原発事故後、「メガソーラーを飯能に」との議論が市議会多数派の間で活発化

2011年(H23)11月

 森林文化都市サミット(於:飯能市飯能市群馬県沼田市山形県鶴岡市3市共催

2012年(H24)5月12日

 大久保勝議員(現市長)、市議会議長就任

2013年(H24)3月21日

 飯能市が阿須山中土地17ha買い戻し開始。毎年度2億円、2021年度(令和3年度/ 2022年3月31日)までに合計20億円で取得完了予定。

 市議会による初回採択は、H24年度補正予算と次年度一般予算の審議で。反対討論では取得目的が曖昧なままで毎年2億もの税金が支払われることへの疑義が提起された。しかし、賛成討論で多数派議員が「公社の取得目的の自然公園整備は今も変わらない。取得目的の採択は不要」と主張し、自然公園整備の内容についての審議は拒絶され続けた。その後、毎年の買い戻し予算案審議の際には、2018年2月の阿須山中土地有効活用事業者公募の最優秀提案事業者決定後は、「自然公園整備」は「暫定的な目的であった」と多数派と執行部は主張し出した。

2013年(H25)7月

 大久保勝現市長、公約のひとつに「日本一のメガソーラー設置」を掲げて初当選。

2014年(H24)6月11日

 野田直人議員が大久保市長の公約「日本一のメガソーラー設置」を絶賛。設置場所として阿須山中を提言(定例会)。

2015年(H27)12月10日

 大久保市長、一般社団法人飯能インターナショナルスポーツアカデミー設立記念パーティー出席。来賓として挨拶。アルゼンチン大使が来賓挨拶。市内T店にて。同法人は、同国プロサッカーチームのライセンスと指導法を導入。アルゼンチンとの関係強い。

 同パーティーには市長、大使の他に、市議会中心人物、県議(元飯能市議・市議会議長、某スポーツクラブ運営法人顧問)など地元政財界より多数参加。このあと、飯能市のイベントに大使メッセージが頻繁に寄せられる。さらに大久保市長自ら大使館訪問など「国際交流」活発化。

2016年2月(H28)2月

 事業者代表がアルゼンチン大使訪問。法人設立パーティー出席御礼&市長大使写真贈呈。内沼現県議・法人顧問(当時市議)の故宮内秘書がボカ茶(飯能産狭山茶と亜国産マテ茶ブレンド茶)提案。市長との試飲会開催要望。

2016年(H28)春~秋頃

 関係者接触活発化。大久保元市長とSとNと。

2016年(H28)10月

 阿須山中土地所有者の親族企業代表が事業者代表、会長にグラウンド確保のための相談を打診した。

2017年(H29)3月

 事業者関係者、大手IT企業本社のメガソーラー商社部門で商談

2017年(H29)6月19日

 財務部長「阿須山中の自然公園以外で、地方創生に資する利活用を検討する。PPP,PFI民間活力導入」(大津市議一般質問)

2017年(H29)6月24日

 大久保市長、BOCA・ジャパンサッカースクール対抗戦で来賓挨拶。(市長公式ブログ)

 公募最優秀提案事業者(一社)飯能インターナショナルスポーツアカデミーを含むBOCAジャパンユースクラブチーム6チーム中5チームが参加。於:飯能市美杉台多目的グラウンド。

 [画像]市長の後ろに同法人顧問で埼玉県議会議員の某氏が見える。2020年3月より県議会環境農林委員長。アカデミーの開発計画推進に必須の許認可のうち、県が権限を有する林地開発許可・農林部、県希少動植物種保護条例・環境部の両方に直接関与し得る立場である。また、飯能市議で元議長のN氏も参列し、県議と同様に挨拶している。県議の隣に少しだけ写っている。

 (掲載の市長ブログの日付は6月26日)

2017年(H29)7月

 大久保勝市長再選 

2017年(H29)9月26日

 市長、議会閉会挨拶で阿須山中について民間事業者提案制度による募集を始める旨発言=阿須山中土地有効活用事業公募開始の宣言

2017年(H29)10月13日

 阿須山中土地有効活用事業者公募が開始。 公社による当初の取得目的「自然公園整備」は、ここで活用目的「地方創生」にすり換えられた。

 同月同時期 大久保市長、アルゼンチン大使館に大使を訪問。「ボカ茶」(飯能産狭山茶とアルゼンチン産マテ茶のブレンド茶)を贈呈。ともに試飲し「国際交流」を深める。 

2017年(H29)11月

 公募参加表明書締切 3社が提出。うち1社は途中辞退。

2017年(H29)12月9日

 大久保市長、アルゼンチン大使館訪問。大使面談&翌年の日亜国交120周年に向けた会合に出席。

2018年(H30)2月

 同公募最優秀提案事業者に(一社)飯能インターナショナルスポーツアカデミーが選定される。落選の1件も、同法人と同様に事業計画案にメガソーラーを含んでいた。

2018年(R1)3月

 県道218号線とメガソーラー開発予定地を結ぶ道路工事開始。飯能市はこの道路を「進入路」と表現し、阿須山中土地有効活用事業との関連を否定するが、市民団体からの公開質問状に対する回答書では、関連を認める。非常にあいまい。この部分は1haを超えないとされ林地開発許可は不要。メガソーラー(&サッカー場)開発用地17haの県林地開発許可は今現在下りていないと思われる。取付道路の着工としては早すぎる印象。発注者:「飯能阿須山中活性化推進委員会」(委員長:加藤廣志氏。「グラウンド確保」をアカデミー幹部に打診した会社代表者と親族)、施工者:株式会社田中工業(埼玉県鳩山町。メガソーラー施工・開発、一般工事他)

2019年(R1)3月

 事業者が売電買取認定取得(FIT法)

2019年(R1)12月10日

 飯能市が事業者と阿須山中土地賃貸契約締結。月額賃料10万円。年額120万円の格安であった。

 同月 議会では「県林地開発許可が下りてないのに、なぜ、このタイミングで契約したのか?」との議員の質問に対して、上副市長は「融資の関係があるので」との問題発言をした。

2020年(R2)2月

 初旬 事業者関連チームが埼玉県クラブユース(U-14)サッカー選手権大会サテライトトーナメント(=二部リーグ)39チーム中準優勝。決勝トーナメント35チームと併せて全74チーム中37位と全体では中位。飯能市の公開質問状への回答と2020年8月に広報はんのうに折り込まれた全8ページの日付なしの謎の怪公文書「阿須山中土地有効活用事業について」では、J3候補生を送り込んだこととともに(大きな?)実績として紹介されている。これも一事業者への大きな利得の斡旋の根拠になるのであろうか。

 初旬、上記賃貸契約締結の事実が、懐疑派・反対派議員に2ヶ月遅れで告知される。

 中旬、市民有志による阿須山中森林保護活動開始。

2020年(R2)3月

 市民団体「加治丘陵の自然を考える会・飯能」が大久保市長と面談。飯能市阿須山中土地有効活用事業中止の要望書を提出。市長は、その場で「事業は国際交流、地方創生、雇用創出に資する」として開発続行を表明。

2020年(R2)6月

 議会定例会で野田直人市議他多数派と上副市長、幹部結託の市民団体およびメガソーラー反対派(共産4名)に対して不当に攻撃。

2020年(R2)6月30日

 飯能市が県の指導により県野生希少動植物の種の保護に関する条例「県内希少動植物種」に指定されているコクランの現地確認調査を実施。コクランを発見し、県と県指定調査会社、事業者(大和リース(株)※)と市と県に調査を要請してきた市民団体「加治丘陵の自然を考える会・飯能」メンバーとの合同調査であった。

大和リース(株)は、公募終了時2018年2月から現在まで飯能市はその存在を公式に公表していない。信頼筋は応募グループ構成員あるいは事業継承者でもないとしている。しかし、数十億円の融資を最優秀提案事業者が受けられる可能性はゼロに等しく、加治丘陵の某大手所有者への説明を担当したとされる親会社の大和ハウス工業(株)を含めて大和ハウスグループが監理設計施工資金を担い実質的事業主体である。

2020年(R2)7月4日

 飯能市が事業者の県林地開発許可申請が川越農林振興センターに受理された旨を市HPで異例の報告。

2020年(R2)8月13日

 飯能市が「県希少動植物の種の保護に関する条例」の第12条第5項の「30日規定」(※)を事業者に遵守させず、8月6日の届け出に対して8月20日の移植実施決定通知を市民団体「加治丘陵の自然を考える会・飯能」会代表に対して公式に通知したことが飯能市発出公文書により発覚した。この文書には、県職員2名の立ち会いとの県の意向と異なる内容も記載されている。

※県内希少動植物種の捕獲等(採取・移植含む)を行う場合には県知事への届け出が必要だが、届け出後30日の捕獲等着手を条例は原則として禁じている。市民団体「加治丘陵の自然を考える会・飯能」によるコクランの移植中止のための県知事あて要望書提出と環境部長との直接折衝で県庁来庁時に発覚した。

 飯能市の度重なる脱法指南と思しき行為と議会における利権グループと幹部との結託による一般市民に対する恫喝および人権侵害行為に多くの市民から批判の声が上がっている。

2022年(R4)3月29日

 阿須山中メガソーラー運転開始期限

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  • 2020年8月10日更新:2020年6月24日記事追加
  • 2020年7月23日更新:2017年6月、9月記事追加
  • 2020年5月18日更新:1992年記事金額加筆
  • 2020年5月18日更新:2020年2月記事若干修正
  • 2020年5月17日更新:2012年5月12日記事を新たに加入
  • 2020年5月17日更新:2012年12月10日記事若干修正
  • 2020年5月17日更新:西暦訂正(誤)「2018年3月 県道…」→(正)「2019年3月 県道…」
  • 2020年5月17日更新:一部記事に情報源リンク貼付け