飯能市メガソーラー疑惑

阿須山中サッカー場問題解説 by azneko

【提言】「飯能市メガソーラー疑惑」と呼ばれないために

この投稿は、2020年10月末以降順次に内容を更新します。

疑惑追及の渦に 

 飯能市の阿須山中土地有効活用事業により現在生じている問題は「飯能市メガソーラー疑惑」と呼ばれかねない状況だ。既に、東京、毎日、朝日、赤旗、文化(地元紙)の各紙が報じているが、今後、多くのマスコミが疑惑として追及する気配だ。在京テレビ局も動き出したという。飯能市は自らの闇を全国に晒すべきではない。

 疑惑と呼ばれかねない理由

  • 大久保勝市長は最優秀提案事業者と2015年12月頃から頻繁に接触していた。公募開始2017年10月13日の約2年前、あるいはさらに以前より。公募の公正性が損なわれていないか。
  • 公募で経営健全性0点の提案事業者が最優秀選定される。公募プロポーザル方式では、企画力、構想力が重んじられるとはいえ、一般的に経営健全性はその前提条件となっている。しかし、飯能市の場合、審査表で経営健全性はオプション(参考程度)とされた。つまり、経営状態に問題のある事業者を通過させるための採点基準となっていた。類似の天理市福住メガソーラーでは、最優秀提案事業者が土地賃貸契約締結前に事業撤退したため、継承事業者が契約を締結。「最優秀提案事業者という立場」の売り買いも取り沙汰された。このように経営健全性は本来、最重要項目である。億を越える事業提案を求めるなら当然のことである。
  • 公募開始2017年10月13日から参加表明書提出締め切りまでの期間が、短かすぎる。公募開始初日に告知に気づいても25日間である。公開される前に一部の事業者への公募内容とスケジュールの情報漏示が疑われる。複雑な地形地質法的規制などの条件を読み取った上で、土木施工の概要を決めて提案するのは25日間では不可能だろう。
  • 土地貸借契約(2年契約。最長30年延長可能)が県林地開発許可申請をしていない段階で締結された。最優秀提案事業者決定から1年10ヶ月後の2019年12月10日であった。開発許可は下りない可能性があるのに市は契約してもよいと判断した。某氏が市幹部に疑念を伝えたところ「融資の関係があるので」と回答したとされる(この部分は別投稿に詳述する)。この契約があったからこそ、事業者は某地銀より融資可能となったのではないか。県林地開発許可申請には、預金残高証明をはじめ、財務状態も重要項目となっている。この契約自体がいわば担保となり、自前のグラウンドさえ所有・専有しない事業者に莫大な資金を与えることとなる。
  • 採算性が不明。メガソーラー発電所建設費用20億~40億円資金計画61億7千万円(2020年8月24日森林審議会諮問項目で判明)、調整池兼サッカー場0.5〜1億円と推定。一般的なソーラーパネルの枚数と設置面積に切土35万立方メートル(文化新聞2020年3月25日)の大規模造成が加わることを加味したが不明点が多く、実際の造成規模によってはさらに高額になるかもしれない。FIT単価は18円/kwh。前金は不明。20年ローンで毎年3億数千万円の返済。メンテナンスで、防草処理、緑地整備、サッカー場含めて2つの調整池、細かなところでは、天然芝の手入れ、さらに、上下水道が敷設されないため仮設トイレ、仮設シャワー、自販機、ウオーターサーバーなどに費用。施設には固定資産税。市が採算性を判断するための資料を公開しないため、正確な数字はわからない。
  • 森林文化都市の飯能市が「森林保全」の土地取得目的を180度方向転換し森林大規模破壊が前提のメガソーラー開発を推進することとなった経緯が市民の納得できるものではないこと。飯能市土地開発公社が市民の税金で阿須山中土地17haを取得した目的は、森林保全を前提とする「自然公園整備」であったが、公募時に「取得目的」が「活用目的」にすり替えられて、「目的」が「地方創生」にすり替わった。市議会では、公社からの土地買い戻し予算が平成25年3月に初採択。良識派は取得目的の明確化を主張したが、多数派は「自然公園目的は既に決まったこと」として採択に応じず、論点ずらしが常態化。このような討論が毎年繰り返された。そして、メガソーラー建設により山を崩して谷を埋める大規模造成・森林どころか山そのものを破壊する森林大規模破壊が決まったのである。市議会会議録を見ると市執行部と市議会中心人物(多数派)、公社(市議と職員で理事会構成)の癒着&工作がわかる。
  • 原状回復条件が不明。契約期間終了後、ソーラーパネル等施設設備の撤去と、その跡地の原状回復は確実に行われるのか。市は「県林地開発許可が下りていないため、計画は変更になりうる。情報公開できない」と繰り返す。とくに、北斜面は平坦化されるが、それを原状回復する大規模な逆造成は採算が取れるのであろうか。疑問はつきない。
  • メガソーラー反対派議員に契約締結の事実が知らされたのが2ヶ月後の2020年2月上旬。明らかに市側は反対運動の初動を遅らせた。これは、融資審査に不利を生じさせないことを目的にした悪質な情報隠蔽である。
  • 県林地開発許可申請に必須項目の近隣住民への説明(住民説明会)が行われていない。大久保勝市長や推進派議員は2月に行ったと市民団体に対して発言しているが、これは、メガソーラー建設についてではなく、別名目で2018年3月〜2020年6月施工の道路工事(実質はメガソーラー建設用取付道路工事)の説明とヒアリングであることが住民への聞き取り、市幹部の証言により、わかっている。県への申請は無効となるべきだ。
  • 都市計画法環境アセスメント法に抵触する恐れがあると、飯能市には進言しておく。用地の大部分は市有地17haだが、公募選定後に事業者は2haの民地を買い足して合計で約19haとなっている。詳細はここでは述べないが、我々の独自調査ではサッカー場0.9haは実は1.0haを超えていて「都市計画法に定める開発許可」申請が必要となり、さらに取り付け道路6m4mx300mほどの付設が必要となる可能性があることがわかっている。この場合には、メガソーラーを含めた林地開発許可対象用地面積は20haを上回るため、環境アセスメント法の対象ともなる。こうなったら、2022年3月の太陽光発電所運転開始期限までの売電は困難になり、採算割れのため開発計画の取り下げが濃厚となる。飯能市は事業者に適切に指導すべきだ(2020年6月10日追加。当面のあいだ青字で表示)。

森林文化都市宣言を守るために

 このような疑惑状態が継続しているため、森林文化都市・飯能市の大久保勝市長は、十分に市民の信頼を損なっている。

 市政は、広く市民のためであり、共通理念である森林文化都市宣言を損なうものであってはならない。市長自信の小さな名誉とお友達のための政治になってはいけない。そのような疑いを多くの市民がもつに至っている。

 そこで、私は、大久保勝市長に、「阿須山中土地有効活用事業の中止」と原点に戻って「市営阿須山中自然公園の設置と本格整備の実施」を提言したい。自然公園整備のアイデアは、子供から高齢者まで幅広く募って仕切り直しである。

 事業者が既に費やした費用は、市が補償する。しかし、銀行からの融資が実行されている場合、資金はどうなるのか?

 大久保勝市長初当選2013年の公約「日本一のメガソーラー設置」は、翌年2014年6月11日の市議会定例会で、野田直人市議が絶賛し、阿須山中を設置場所として提言。公式に阿須山中とメガソーラーが結びついた記念すべき日となった。その後、執行部、市議会、公社、民間事業者、一般市民を激しく巻き込む一大プロジェクトとなった。提言を受け入れることで大久保勝市長の信頼と人気は下げ止まるはずだ。