飯能市メガソーラー疑惑

阿須山中サッカー場問題解説 by azneko

議会最有力会派議員がメール誤送信事件を材料に市民を攻撃

メール誤送信事件

 この事件について、広く市民が知ることとなったのは、2020年6月24日付文化新聞である。

 事件は、今年5月に起こった。文化新聞社ベテラン記者S氏は、メガソーラー開発計画に反対する市民団体・加治丘陵の自然を考える会・飯能の代表に送信するはずのメールを、公募採用された応募グループ中心人物(とされる)X氏に誤送信してしまった。そのメールには、S記者の開発計画に対する疑問と市民運動に対する共感を示す表現があった。

 これを受け取ったX氏は、文化新聞に抗議し、S記者はX氏に出向き謝罪したが、許されず。結局は、文化新聞の経営難と相まって、経営陣は、6月にS氏を退職に追い込んだ。推進プロジェクトの砦である飯能市は文化新聞の大口顧客である。ついに、社長は文化新聞掲載の謝罪文で「記者を辞めさせました」と言っている。

 推進プロジェクトは、この事件を反対運動封じ込めに利用することにした。後に述べる加藤由貴夫市議による定例会での一般質問を利用した市民団体への攻撃もそのひとつ。

 S記者は、大きなミスを犯したが、常識的に言って解雇や強制退職に及ぶようなものではなく、せいぜい、1,2ヶ月の減俸程度だろうというのが識者の見方である。

 彼は、問題のポイントを市民目線で記事に仕上げる優秀な記者であった。あのあざやかな速記は職人技であった。真の意味で中立公正で、権力に対して疑義を唱えることのできる飯能市民にとって貴重な存在であった。来年の市議選、市長選を最後に花道を飾るはずであった。文化新聞が報道機関としての矜持を示すことは、ついになかった。

「市議会だより」が伝える市民へのスラップ攻撃

 次に、この事件のことが簡潔に書かれた「市議会だより」(飯能市議会発行 2020年8月1日号)をたたき台にする。

 議会最有力会派の加藤由貴夫議員が、6月定例会で、会派みどりの会(※)を代表して、一般質問の形で、S記者と市民運動団体を攻撃している。

阿須山中土地有効活用事業について

[問] 「阿須山中土地有効活用事業の中止と白紙撤回を求める請願書」には、「市議会では審議がなされていない」と記載されているが、事実は、一般質問14回、質疑8回、反対討論18回、賛成討論15回であり、十分な審議を尽くし進めている。真実を市民に伝えていただきたいと思うが、市長はどのように感じているか。

[答] 平成25年3月定例会に阿須山中の土地取得議案と補正予算が提出されて以来、多くの審議が繰り返され、多くの意見表明もあり、議会で審議がされていないというのは事実と全く違うと認識している。

 この数は全く意味のない数字である。議会多数派は、公社所有の阿須山中土地の買い戻し予算案討論には、公募までのすべての機会において、多数派が、市執行部と結託して、「自然公園整備との公社の取得目的は変わらない」として、少数派が主張する自然公園整備の具体的な討論を拒絶し続けた。阿須山中の土地についてその価値ある森林を生かそうとする討論はなかったのである。これは、議事録でも明白である。

[問] 加治丘陵の自然を考える会・飯能から事業の中止・白紙撤回を求める署名が提出されたが、市長はどのように受け止めているのか。

[答] 署名については、真撃に受け止めている。しかし、市ホームページで回答書等を見て飯能市の考えを理解し、署名活動に参加したことが軽率だったと思っているので、署名用紙を返してほしいという方もいる。

 真摯に受け止めるとは言っただけで、全く真摯な態度ではないどころか、市民団体を批判している。これが埼玉県飯能市8万人の市長。市民団体関係者の証言では、市民をかたるメールが数回寄せられたとのこと。文体、タイミングから、多数派議員(+支持者)による自作自演の可能性が高いと考える。この手の市民団体に対する誹謗中傷の類いは他にも多数。  

[問] 地元文化新聞の記者が中立を離れて反対運動の代表者XXXX氏へ加担し、自分の思想信条を達成するため、新聞を私物化し、真実が捻じ曲げられて市民に伝えられているということに市長はどのように考えるか。

[答] 報道機関、記者には、高い公共性、中立性、倫理観が求められているのではと思っている。歴史のある文化新聞で起きた今回の出来事については、とても残念である。

  冒頭で述べたS記者メール誤送信事件に関する発言である。新聞記者が取材対象との信頼関係を構築する上で、自らの信条、心情を吐露することは普通にあり得ることである。記者がどのような政治信条や思想をもったとしても、新聞等メディアがどのような内容で表現するかは編集の責任である。今回、多数派及び市長が取った行動は、取材活動を故意に妨害し、報道の自由を侵害するものであり、日本国憲法の精神に反する行為である。市議会はこちらを問題視すべきである。

 しかも、加藤議員は、メガソーラー開発計画の内情を知り得た記者が市民団体への共感を表現したことを報道の公共性、中立性、倫理性を損ねたとの暴論を吐いている。これは、取材活動の自由性と報道機関の公益性を意図的に混同している。しかも、反対運動に加担したとして、市民団体側の不正をでっち上げている。

 また、加藤議員の質問では市民団体代表の個人名が明示され、批判している。上記事件にかかわる彼の見解は事業者代表の証言とメール文、文化新聞幹部からの情報だけで成立していて、市民団体代表からの事情聴取が一切ない。市民の人権など眼中になく、欠席裁判と同じ。議長も多数派に与しているため注意もしない。議会の公共性、倫理性を逸脱する事態となったのである。

(阿須山中土地有効活用事業関連以外の質問は省略する)

最有力会派みどりの会

※構成(4名)全員が議長経験者、高校同窓生

  • 野田直人議員 元議長。元埼玉西部広域消防組合議会議長。議会中心人物。大久保勝市長に絶大な影響。この定例会で、6月19日、当初、欠席予定であったのに出席。一般質問の最中、議事進行を掛け、市が管理進行するメガソーラー開発計画の法的瑕疵を指摘した市民A氏を、本人不在で一切の事情聴取を行わずに、上副市長の協力のもと、反社もどき扱いした。さらに、A氏と少数派共産党及び市民団体との関係をでっち上げ、議長を介して共産4名にほぼ強制謝罪させ、さらに、共産党に対して、6月26日までの期限付きで謝罪要求した。
  • 平沼弘議員 元議長
  • 加藤由貴夫議員 元議長
  • 砂長恒夫議員 元議長

f:id:azneko:20200731113322j:plain

はんのう市議会だより2020年8月号