やむを得ない答申
2020年9月24日付で、埼玉県森林審議会会長より埼玉県知事に対して、8月24日に審議されたいわゆる「飯能市阿須山中メガソーラー&サッカー場」の林地開発行為について、次の答申が提出された。標準処理期間40日目の9月2日を大幅に超えての答申である。
文書の内容は当投稿の下端に貼り付けた。
本文には「(許可については4つの許可条件が揃っているので)やむを得ない」との見解が示されている。
答申に付された意見は、いわば、「地域理解の促進」について「努力義務」を求めているのだが、特異なのは、開発行為が飯能市の事業によるものであるから、「事業者単独」ではなく「飯能市と事業者との協力」により行うことを求めている。今後も飯能市の責任が問われ続けられる根拠を残している。これにより、民間事業者に対する批判はスラップ訴訟のリスクが高い。また、事業に関わる情報開示は民間ゆえに不十分となるのが普通だが、この答申は市に対する説明責任を求めている点で、市民にそれを回避し得る道筋を残していると言える。このことに加えて、申請内容及び形式について、多数の脱法違法、不適正の報告を受理している川越農林振興センターが、最終的にどのような条件付き許可処分をするのかが注目される。
今後は、この答申を受けて、許可処分決定までの間に、法令上の違法行為や不適正が見つかる場合を除いて、川越農林振興センター所長が許可処分を決定し、県知事により許可される見込み。
要望の連絡先
実際に許可処分の事務処理を進めるのは、同センターの林地開発制度を分掌する川越農林振興センター林業部である。要望等は、こちらに連絡するとよい。
電話042-973-5620 または、042-973-5668
Fax042-974-1980
ウェブからは、 お問合せフォーム(ページ下部)より送信する。
埼森審第13号
令和2年9月24日
埼玉県知事大野元裕 様
埼玉県森林審議会会長落合 博隆博貴
林地開発行為の許可について(答申)
令和2年8月20日付け森第488号で諮問のあった件については、森林法第 10条の2第2項の各号のいずれにも該当しないことからやむを得ない。なお、 審議会として下記の意見を付する。
記
1 開発区域の多くが飯能市有林であり、かつ、市の土地有効活用事業による開発行為であることに鑑みて、次の事項について飯能市と事業者が協力し、地域の理解の促進に努めるよう促すこと。
(1)開発区域内及び周辺において確認された希少野生生物の取り扱い
(2)洪水調整池を兼ねるサッカーグラウンドの利用上の安全確保及び機能維持
(3)事業終了後における太陽光施設の撤去および原状回復等の措置
(4)当該開発行為に係る他法令の遵守
2 大雨等による災害が発生しないよう、申請書の工事計画に基づき適切な施工 が行われるよう十分指導すること。