飯能市メガソーラー疑惑

阿須山中サッカー場問題解説 by azneko

【試算】飯能市の支出及び流出金額

市長は「1円の支出もない」と主張

大久保勝前市長は阿須山中土地有効活用事業の支出に関して、2020年11月に地元テレビ局飯能日高テレビ(※1)で、次のように主張している。

年間120万円(注:土地賃料10万円/月)ですが、市にお金が入る。そして、市は1円もお金を掛けないで、あの施設(※)ができる。
※地方創生に資するとして公募選定され、現在建設中のサッカーグラウンド0.97haとその11倍の面積をもつ「付帯施設」メガソーラー等施設。

飯能市支出(流出)金額の試算

本当に、1円の支出(流出)もないのか。当該事業にかかる市の支出額を試算した。なお、本来は市の収入とすべき市有地伐採木売却代金については資産流出と見なされることから、合わせて「支出(流出)」と表記した。
条件:土地賃貸借契約2020年12月から2年ごと更新。再エネ固定価格買取制度売電期間20年間。2019年3月~2039年3月予定。原状回復期間1年~2年程度は考慮していない。

Aバターン:樹木撤去工費と原木売却費の両方を市が負担

項目名 支出(流出)金額  備考
樹木撤去工費(伐採工事費)※2 4494万円 本来は事業者負担とすべきところを市の負担とした
原木売却費(伐木売却にかかる加工運搬費等)※3 1167万円 本来は事業者負担とすべきところを市の負担とした
伐採木売却代金(推定)※4 6000万円以上流出 本来は市の収入だが事業者に得させた
唐沢川の浚渫工事費(20年間分。一部推定)※5 5400万円 本来は事業者負担とすべきところを市の負担とした
固定資産税減免(未定) 本来は事業者負担すべきところ減免による利益供与(流出)があり得る
支出(流出)合計 約1億7000万円以上 土地買戻金20億円を含まない

Bパターン:原木売却費のみを市が負担(樹木撤去工費は事業者負担)

項目名 支出(流出)金額  備考
原木売却費(伐木売却にかかる加工運搬費等)※3 1167万円 本来は事業者負担とすべきところを市の負担とした
伐採木売却代金(推定)※4 6000万円以上流出 本来は市の収入だが事業者に得させた
唐沢川の浚渫工事費(20年間分。一部推定)※5 5400万円 本来は事業者負担とすべきところを市の負担とした
固定資産税減免(未定) 本来は事業者負担すべきところ減免による利益供与(流出)があり得る
支出(流出)合計 約1億2500万円以上 土地買戻金20億円を含まない

Cパターン:樹木撤去工費と原木売却費の両方を事業者が負担(市は無負担)

項目名 支出(流出)金額  備考
伐採木売却代金(推定)※4 6000万円以上流出 本来は市の収入だが事業者に得させた
唐沢川の浚渫工事費(20年間分。一部推定)※5 5400万円 本来は事業者負担とすべきところを市の負担とした
固定資産税減免(未定) 本来は事業者負担すべきところ減免による利益供与(流出)があり得る
支出(流出)合計 約1億1400万円以上 土地買戻金20億円を含まない

上表のとおり、阿須山中土地有効活用事業の契約期間20年間にかかる飯能市の支出(流出)は、「1円もお金を掛けない」とは言えない。
概算1億2500万円~1億7000万円以上の支出(流出)にも関わらず、収入は僅かに土地賃料2400万円(20年間)。固定資産税については一切触れていないため大幅な減免が考えられる。
さらに言えば、飯能市土地開発公社からの買い戻し金20億円の支出についても、当該事業を評価する場合には加味する必要がある。

参考資料
※1 【飯能市長の弁解】地元テレビで拡散。「噂の!東京マガジン」の放送を受けて - 飯能市メガソーラー疑惑
※2※3 伐採木問題解明のための基本資料 - 飯能市メガソーラー疑惑
※4 伐採木評価額を試算する - 飯能市メガソーラー疑惑
※5 2020年11月29日阿須三王塚住民向け説明会での市職員発言「5年後に1200万円を掛けて浚渫工事実施(5年おきに実施と仮定)」「2021年7月実施浚渫工事費概算600万円」

更新

2021年10月1日 「固定資産税減免」を試算表に追加
2022年2月9日  試算表にBパターンを追加
2022年6月7日  試算表にCパターンを追加
2022年6月7日  伐採木売却代金流出金額を最低試算額6000万円に修正(←1億円)。連動する金額を修正した。