飯能市メガソーラー疑惑

阿須山中サッカー場問題解説 by azneko

クマ目撃20倍 メガソーラー着工後 生態リスク上昇か

はじめに

埼玉県飯能市では、加治丘陵地内市有地メガソーラー開発面積約19ha(※1)での2020年10月14日着工日以降、丘陵外周2km圏内でのクマの目撃件数が増加傾向である。昨年2024年から今年2025年にかけては、同圏内でも美杉台地区など比較的人口の多い地域での出没が目立つ。このようなクマ(※2)とヒトとの遭遇機会の増加は住民の安全を脅かすだけでなく、駆除されるか否かを問わず、クマ個体群にとって深刻な脅威となる。

ここでは、「クマの目撃情報一覧」(飯能市 2025月10月20日付・対象地:飯能市内)に基づき、とくに、着工前後の変化率に着目して、加治丘陵でのメガソーラー開発がクマの生態に与えた影響について論評する。

  • ※1 加治丘陵(かじきゅうりょう)は埼玉県飯能市入間市、東京都青梅市に跨る標高200m前後のなだらかな丘陵地。八高線より西側は「阿須丘陵」と呼ばれる。希少動植物が生息する針広混交林が広がり、飯能市域が面積の60%を占める。メガソーラー開発計画は飯能市阿須山中(あずやまなか)市有地を借り受け、民間事業者が実施。
  • ※2 ここでいう「クマ」は「ツキノワグマ」と考えられる。

クマの目撃データとその分析

対象データ:飯能市内および近隣地域でのクマの目撃情報一覧(飯能市)2025.10.20

① 調査対象期間・日数・目撃件数・着工日:2020年10月14日

着工前後 区分 期間 日数 総件数 加治丘陵 外周2km圏 総件数その他 地域 合計
着工後 2020年10月14日~2025年10月18日 1,831 18 49 67
着工前 2009年7月7日~2020年10月13日 4,117 2 40 42
全期間 2009年7月7日~2020年10月18日 5,948 20 89 109

② 日平均目撃件数

着工前後 区分 日平均 件数 (加治丘陵 外周2km圏) 日平均 件数 (その他 地域) 日平均 件数 (合計)
着工後 0.009831 0.026761 0.036592
着工前 0.000486 0.009716 0.010201
全期間 0.003362 0.014963 0.018325

③ 日平均目撃件数 着工前と着工後の比較

項目 日平均 件数 (加治丘陵 外周2km圏) 日平均 件数(その他 地域) 日平均 件数(合計)
着工後/着工前 20.2倍 2.8倍 3.6倍

飯能市内全域に対する目撃割合(比較:日平均件数)

項目 加治丘陵 外周2km圏 その他 地域 日平均 件数(合計)
着工後 26.9% 73.1% 100.0%
着工前 4.8% 95.2% 100.0%

⑤ 分析概要

主に「日平均 件数」にもとづき、「着工前→着工後」の変化を示した。

共通項目:着工前4117日、着工後1831日、全期間5948日(約16年3ヶ月)

  • 加治丘陵外周2km圏:総目撃件数 2件→18件。 日平均件数 着工後 20.2倍、また、飯能市内全域での目撃件数に対する割合が約5%から約27%となり、特異な増加を示している
  • その他地域:総目撃件数 40件→49件、 日平均件数 着工後 約2.8倍
  • 全期間:加治丘陵外周2km圏20件、その他地域89件、合計109件。日平均件数 着工後は着工前の約3.6倍

評価:加治丘陵メガソーラー開発とクマ出没の関係

① 局所的増加の有意性

加治丘陵外周2km圏での日平均目撃件数が、約20倍と顕著に増加していることは、明確な「局所的変動」を示す。 とくに、その他地域(約3倍)と比較しての極端な増加率は、単なる全域的な個体数変動よりも「局所的攪乱」を反映していると見ることができる。

開発による森林破壊・造成・騒音・夜間照明などがクマの移動経路・生息地を変化させた可能性が高い。

② 環境変化の考察

生態学的に、クマの出没増加には以下の要因が関与しうる:

  1. 生息地分断 大規模な森林伐採、造成等山林破壊にともない、行動圏の一部が遮断され、森林から住宅地や里山への移動経路が変化。
  2. エサ資源の減少 造成地周辺では堅果類・果樹・昆虫資源の減少が発生。これにより、クマがエサを求めて市街地・人里側へ移動する傾向。
  3. 人間活動への慣れ 工事期間中の人間活動や車両出入りにより、クマが人間の存在への「慣れ」も生じ得る。結果として遭遇機会が増加する。

③ 広域傾向との比較

飯能市全域でも4倍程度の増加が確認されているため、気候変動や個体群増加といった広域的要因も否定できない。ただし、加治丘陵周辺で着工後20倍増という突出は、単なる全域傾向では説明がつかず、土地改変に起因する局地的な影響が支配的と考える。

④ 危機回避のための行政的含意

  • メガソーラー開発後の環境影響評価では、野生動物への長期的モニタリングを行うことが望ましい。
  • クマ出没増加は、生態系の不安定化の初期兆候と言える飯能市東部~加治丘陵地域の生態系回廊再生計画が急務である。
  • また、市民の生活安全対策としても、通学路・散策路周辺での注意喚起・防獣柵整備が必要。

総括

「加治丘陵周辺のクマ目撃件数は、メガソーラー着工後に著しく増加しており、森林伐採と土地改変がクマの行動圏・移動パターンに直接的な影響を与えた可能性が高い」

単なる個体数変動ではなく、メガソーラー開発による生息地の分断・エサ資源の喪失・人間環境への慣れが重なった結果と考えられる。 よって、本件は環境影響評価の「事後監視型研究」の典型事例として、再エネ開発と生態系保全の両立を検討する上で重要な警鐘である。

飯能市議らが市長を提訴/住民訴訟 新展開へ

公有財産の適正利用を求める市民たちが提訴

2025年9月29日、飯能市議会議員の代表を含めて4名の原告(※)が飯能市長を被告人として、さいたま地裁住民訴訟を提起した。

今まで、飯能市元建設部長による住民訴訟が本人訴訟で提起されたが棄却。控訴はされなかった。

今回の住民訴訟では、弁護士と専門弁護士集団による支援を得ており、長期戦が予想される。

原告団飯能市有林民間メガソーラー住民訴訟団」。代表は2020年初頭に阿須山中土地有効活用事業による大規模な環境破壊を懸念、環境団体「加治丘陵の自然を考える会・飯能」設立、2021年4月、市議会議員選挙初当選。2期目。住民訴訟には一市民として参加。

主たる訴え

本件住民訴訟の主たる訴えは次のとおり。これら怠った行為を実施するように被告人に義務付けるいわゆる「義務付け訴訟」である。

  1.  大和リースに対する土地賃貸借契約(変更契約含む)の解除をすること。
  2.  大和リースに対する貸付地の明渡し請求をすること。
  3.  旧HISA(※1)に対して4922万円の不当利得返還請求をすること。
  4.  大和リース株式会社に対して1490万4000円の不当利得返還請求をすること

不当利得返還請求額=土地賃貸借契約期間✕(適正賃料-現行不適正賃料)

※旧HISA:(旧)一般社団法人飯能インターナショナル・スポーツアカデミー、(現)ジャパンインターナショナル・スポーツアカデミー。旧HISAは、大和リースへの事業承継に至る事業破綻の理由が虚偽と思われる可能性が、財務分析報告書、市との協議記録等により、うかがわれる。
事業承継認定後は、頻繁な住所変更、役員変更、代表者変更が続いている。とくに、管轄外移転は半年の間で3回に及ぶ。
一般的に頻繁な変更登記とくに管轄外移転の理由は、債務逃れ、違法行為責任逃れ等によるものと疑われる(本件事業者についてこれらの事情が該当するかどうかは、断定できない)。

本件新聞記事抜粋要約

毎日(デジタル版)・朝日(紙版朝刊・地方版) ともに2025年9月30日発行。

  • 飯能市(埼玉県)が市有地を不当に安く貸しているとして、長谷川順子市議ら市民4人が新井重治市長を提訴した。
  • 訴訟では、土地の賃貸契約の違法・無効確認と、賃料追加分約6900万円の事業者への請求を求めている。
  • 問題の市有地は飯能市阿須の約17ヘクタールで、市が約19億5000万円で購入後、2019年12月から月額10万円で事業者に賃貸した。
  • 住民側は、市と事業者の契約が市議会の議決なく結ばれており違法・無効であると主張。地方自治法に基づき、賃料は月額102万円が相当であると訴えている。
  • 市財産規則は10年以上の契約に議決を求めているが、市と事業者の契約は10年未満である。しかし、住民側は20年間の基本協定書があるため、実質20年以上とみるべきであると主張している。
  • 新事業者は再エネ特措法が求める事業者変更申請をしておらず、市が新事業者と契約するのは裁量権の逸脱であると指摘されている。
  • 新井市長は訴状が届いていないためコメントを控えている。