飯能市メガソーラー疑惑

阿須山中サッカー場問題解説 by azneko

飯能市が事業計画の進捗状況を発表

県林地開発許可は申請前

 2020年5月29日付で、飯能市記者発表資料「阿須山中土地有効活用事業の進捗状況について」が公開された。

 これによると「1 進捗状況について 森林法による林地開発許可申請の手続について、事業者において、埼玉県と、引き続き事前相談を進めています。本市では、事業者と連携をとりながら、事業の進行管理を行ってまいります。」とある。

 まだ、埼玉県林地開発許可は申請することさえできない「事前相談段階」となっている。予期せぬ遅れが生じているようだ。

 2020年5月1日には、昨年12月発出の林野庁長官通達にもとづき、埼玉県林地開発許可制度で太陽光発電所に関する規制が強化されたため、建設費用の大部分が、メガソーラーである開発費用は増加するとともに、確認事項の増加で申請までの長期化が予想される。

 余談だが、飯能市は、ここで、「事業者と連携をとりながら、事業の進行管理を行ってまいります」と自らの役割と責任を明示している。

他の関連法令の手続き

 手続き完了とされるのは、太陽光発電のための固定価格買取制度(改正FIT法)の認定。運転開始期限2022年3月と報告されている。

 先の林地開発許可制度(森林法)に加えて、関連する法令としては、都市計画法、県立公園条例、環境アセスメント法、埼玉県環境影響評価条例などがある。

 これらの法令手続きと数十億にものぼる融資が完了して、はじめて着工が許されることになる。

公開質問状への回答書

 この記者発表資料は他に、市民団体「加治丘陵の自然を考える会・飯能」が市長あてに提出した公開質問状に対して市が回答したことを報告している。

 この回答書は、事業案が美辞麗句に彩られているが、実際には、問題箇所が多数見受けられる。

 詳細は、当ブログのカテゴリー「公開質問状」ご参照。今後、読み解いていきたい。

疑惑の公募(1)特別待遇?

直近3年間の財務指標制限を素通り

 「応募の制限」カ 経営が健全性を欠く(直近過去3年間の決算が債務超過、純損失、キャッシュフロー赤字の全てに連続して該当(応募グループの場合は応募グループを構成する法人の全てが該当)する状況)と認められる者

 飯能市の阿須山中土地有効活用事業公募で、最優秀提案事業者に選定された事業者の法人成立日(登記申請日)は2015年7月1日。公募開始日2017年10月13日〜事業提案書締め切りが2018年1月26日。基準日を公募開始日とすると、2年3ヶ月しか社歴がない。

 このことから、当事業者の決算書は創業からの二期分しか提出されていないことがわかる。3期連続して経営健全性を欠くことがないのである。当事業者は、応募する前から審査の前提条件をクリアしていたことになる。

 他の応募制限ア~オ(反社ではない等等)は、普通の企業ならば、難なくクリアできることは容易に理解できる。

(以下、再下端の「応募の制限」ご参照)

参加表明書受付期間が短すぎる

 阿須山中土地のように、17haもの広大な用地の複雑な形、地形、もろい地質を見抜き、概要であっても適切なプランを作成するには、10月13日~11月6日、25日間の受付期間では提出不可能との見解を土木建築施工の専門家に確認した。他にコンサル会社経営者で多くの自治体公募に選定されてきた人物も同様の意見である。「公募開始日前から市と事業者間で打ち合わせがあったのでは」との疑問を呈する専門家の意見を付け加えたい。

経営健全性0点でも最優秀選定

 この項は後日アップする。

疑惑の公募(3)「経営健全性ゼロ」で最優秀になれる仕組み

【参考】公募の概要と事業者要件(抜粋)

飯能市は阿須山中土地有効活用事業者を公募で選定した。

【選定方法】

・公募プロポーザル方式

【公募スケジュール】

・公募要領公表:2017年10月13日

・参加表明書受付期間:2017年10月13日~11月6日(25日間)

・事業提案書等の受付期間 2017年11月27日~2018年1月26日

【応募者の資格要件】(抜粋)

(1) 資格要件
・本公募に応募できる者は、提案した内容を自ら実現することができる企画力、技術力、資金力、経営能力、長期にわたる事業を展開できる継続性等を有しており、「(3) 応募の制限」に該当しない法人(以下「事業者」という。)とします。法人格を有しない団体や個人の応募はできませんが、複数の法人により構成されるグループ(以下「応募グループ」という。)は事業者とみなし、本公募に応募することができるものとします。また、本公募については、民間の実績やノウハウを生かした自由で広範な提案を求めることから、資格要件として提案する事業者の地域限定は行いません。

(2) 応募グループに関する留意事項
・事業者が応募グループの場合にあっては、次の各事項が適用されます。また、その場合は、応募グループを代表する法人が応募手続を行ってください。
ア 応募する事業者及び応募グループの構成員は、他の応募グループの構成員になることはできません。
イ 応募する事業者は、複数の提案を行うことはできません。
ウ 応募する事業者は、原則として応募する事業者自らが事業実施することを前提に提案してください。
ただし、市との協議により業務の一部を委託することは可能とします。
エ 提案書提出後は、原則として応募グループ構成員を変更することはできません。

(3) 応募の制限
・次のいずれかに該当する事業者は、応募することができません。
また、応募以降、審査終了までに次のいずれかに該当した場合は、応募資格を失うこととします。
ア 次の申立てがなされている者
(ア) 破産法(平成 16 年法律第 75 号)第 18 条又は第 19 条の規定による破産手続開始の申立て
(イ) 会社更生法(平成 14 年法律第 154 号)第 17 条に基づく更生手続開始の申立て
(ウ) 民事再生法(平成 11 年法律第 225 号)第 21 条の規定による再生手続開始の申立て
イ 現に建設工事等の契約に係る指名停止措置を受けている者
国税又は地方税の滞納がある者
エ 役員等が、飯能市暴力団排除条例第 2 条第1号に規定する暴力団又は同条第 2 号に規定する暴力団員若しくは暴力団員と密接な関係を有していると認められる者
無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律(平成 11 年法律第 147 号)第 5 条の規定による観察処分を受けた団体及びその関係者と認められる者
カ 経営が健全性を欠く(直近過去3年間の決算が債務超過、純損失、キャッシュフロー赤字の全てに連続して該当(応募グループの場合は応募グループを構成する法人の全てが該当)する状況)と認められる者

 

上記は公募要項(市HP。.pdf)より抜粋。詳細は公募要項をご参照。

 

修正

2022年2月14日 設立年数を2年3ヶ月〜2年7ヶ月に訂正。(←2年4ヶ月)

2022年2月13日 関連リンク記載

2022年6月18日 設立年数を2年3ヶ月に訂正。

反撃の市長: 公開質問状編(2) 前文

 本文「経緯」「考え方」「現状」に入る前に、前文を解説する。

飯能市公式サイト内「阿須山中土地有効活用事業について」に記載の前文)

 本市では、飯能市土地開発公社が先行取得した阿須山中の公共用地約17haについて、令和4年度の土地開発公社の解散に向け、平成24年度からの10年間で約20億円をかけて買い戻しているところです。
 阿須山中公共用地の利活用方策については、暫定的に自然公園としながらも、買い戻し後10年間のうちに検討することとしており、飯能市議会においても、様々なご意見、ご提案等をいただいていました。

 「利活用方策については、暫定的に自然公園」とあるが、これは、議会で採決されたものではなく、また、公社健全化計画(2013/H25.2)でも触れられていない。2018年(H30)2月に一般社団法人飯能インターナショナルスポーツアカデミーが公募で最優秀提案事業者として選定された同年翌月の3月に後付けで市執行部が慌てて、取得目的・自然公園に代わって言い出したものである。

 2013年(H25)3月に、議会では、公社からの阿須山中土地買戻し1回目予算案が採決されてから、2017年(H29)3月までの4年間、少数派の「10年間分割、合計20億円もの費用をかけるのだから、市としての取得目的を決めるべき」との反対討論が、必ず、多数派の「公社の取得目的の自然公園整備目的に変わりはない」との賛成討論によって否定された。市としての取得目的は、「公社からの10年間分割買戻しにより公社を解散すること」となり、「公社の取得目的・自然公園」は「毎年、議場で語られて、出席者全員が聞いてはいるが、採決されず、会議録には掲載されるものの宙に浮いたような状態」となった。

 市はこの多数派の毎年の賛成討論「公社の取得目的」を「市の利活用方策」に言い換えて「市の利活用方策は暫定的に自然公園」という新しい文脈を捏造した。「自然公園は暫定的だから、これが、森林破壊をともなう地方創生に名を借りたメガソーラー開発に取って代わっても問題ない」という、議会多数派と市執行部合作のすり替えと言い換えの奇妙な文脈の出来上がりである。 

 本市は、平成26年5月、日本創生会議人口減少問題分科会において、「消滅可能性都市」の一つに位置付けられました。このため、本市では、「消滅可能性都市」から脱却し、「発展可能性都市」へ、そして「発展都市」へと向かい地方創生を実現させるため、阿須山中公共用地の利活用方策について、「飯能市市有資産に関する民間事業者提案制度」を活用し、自然公園に限定することなく、地方創生の観点から広く民間事業者からの提案を求め、有効な土地利用を図ることとしました。
 これにより、民間事業者からの提案の中から、最優秀提案事業を選定し、阿須山中土地有効活用事業として実施していくこととしました。 

 森林文化都市が、希少種豊富な森林地帯で国・県の環境保護法令に抵触するにもかかわらず、大規模森林破壊をともなう開発計画案を選定した経緯の説明がない。致命的に説明責任を果たしていない。

 最優秀提案事業は、サッカーを通じてこの飯能の地から世界に通用する選手を育成すること、青少年の健全育成を図ることを目的としています。そのために、選手育成の場として必要となるサッカーグラウンドを建設するとともに、その建設費用と将来にわたる事業の安定継続に必要な財源を事業者自らが生み出し確保するための手段として太陽光発電事業を実施するものです。

 一般市民の認識では「飯能はホッケーのまち」である。それが、何故、飯能市自身が経営健全性0点と最低ランクに置く、特定の少年サッカークラブ事業者に莫大な利得を斡旋する事態となったのか。肝心の説明がない。

 飯能市内に限っても、サッカー場建設に適した安価な土地は豊富にある。多数ある廃校跡地などは、上下水道、屋内各施設など完備していてそれがない阿須山中よりはるかに安価快適に使えるだろう。億を超える事業でもないサッカークラブ事業者が数十億円規模のメガソーラー発電所ビジネスを開始する。一私企業の莫大な収益事業となる。これだけで不正な利権構造を想起させるに十分である。

現在は、事業の実施に向け、事業者が様々な手続きを進めているところです。

 手続きに限定しても、当プロジェクトには疑惑がつきまとう。直近の例を見ると、2019年(R1)12月10日、飯能市は(一社)飯能インターナショナルスポーツアカデミーと当該土地貸借契約を締結したが、阿須山中メガソーラー反対派議員への告知は2ヶ月後であった。市民の反対運動の初動を遅らせる目的だ。また、県林地開発許可がおりない可能性があるのに、契約締結をした理由を聞かれた上副市長は「融資の関係があるので」と答えたとされる。市が融資の担保にもなりうる公有地の賃貸借契約締結という莫大な利得を事業者にあっせんしたことになりはしないか。 

こうした中、令和2年5月1日に、「加治丘陵の自然を考える会・飯能(代表 長谷川順子氏)」から、飯能市長宛てに、「飯能市阿須山中土地有効活用事業」の中止と白紙撤回を求める署名とともに、質問書が提出されました。
 つきましては、本事業に対してご理解いただくため、今までの経緯、本事業に関する基本的な考え方などを加えて質問書に回答した内容を、以下のとおり掲載します。

この部分は解説なし。

【引用元】阿須山中土地有効活用事業について(公開質問状関連文書)