飯能市メガソーラー疑惑

阿須山中サッカー場問題解説 by azneko

青梅市今井メガソーラー計画その後

 

事業計画中止か。認定情報リスト非掲載に

約1年前、2020年11月10日に投稿した 「加治丘陵南辺 青梅市今井に新メガソーラー計画 - 飯能市メガソーラー疑惑」について、その後の状況に触れておく。

このメガソーラー予定地は、飯能市阿須山中メガソーラー開発区域より数百m程度あるいはそれ以上に近接、という隣接地にあると考えられる。

結論から言うと、当該事業計画は、その後、「固定価格買取制度に基づく事業計画の認定情報」に非掲載となった。資源エネルギー庁による認定取消あるいは、事業者の取り下げ申請により、事業化は実質的に中止になったと考えられる。

経済産業省は、太陽光発電の温存案件に対して、2017年4月のFIT法改正以来、事業計画の実施を厳しく求めるようになった。2018年12月には「未稼働案件への措置」を強化、一定の基準を満たさない事業者に対しては買取価格の半減措置などを打ち出した。

2015年3月に認定番号を取得したこの事業計画は、2018年末までに建設開始、2021年竣工を予定していたが、遅れに遅れていた。2020年11月時点でも建設は行われておらず、2021年1月31日時点では、上記リストから削除されたと考えられる。

【参考記事】

「メガソーラーランキング・事業認定編」、100MW超は10案件、国内最大・480MWの宇久島は? - 特集 - メガソーラービジネス : 日経BP

青梅市議会での質疑応答

当ブログが当該事業計画の存在を報告した直後、青梅市議会ひだ紀子議員が、11月下旬までの間にインターネット上でメガソーラー計画を確認して、その翌日には予定地に赴き、2時間ほど歩いたという。

ひだ議員は、その翌月の12月1日に青梅市議会で事業計画の存在を示し、自然環境、生活環境への影響を危惧し、市による規制を問い質した。

青梅市長は事業計画に対しては次のように否定的な見解を示している。

青梅市環境基本計画では、基本方針として、再生可能エネルギー等の導入促進を掲げておりますが、一方で、緑豊かな森林を守り、育て、生かすといった森林の保全についても掲げております。
 当該メガソーラー計画では、大規模な森林伐採が想定されるものであることから、環境基本計画の森林の保全にそぐわないものと考えます。

しかし、担当幹部の発言により、青梅市環境基本条例の不備が判明してもいる。条例はあるが、規則の制定がないのである。理念だけの絵に描いた餅状態ということである。

市側は、規則策定の作業着手を表明している。

国会に登場

2020年11月26日、田村智子議員(共産)は参議院内閣委員会で再エネ規制に関する討論の中で、阿須山中メガソーラーとともに、今井メガソーラーを環境への影響が懸念される事例として取り上げている。

日本共産党 参議院議員 田村智子 | 再生エネ開発規制が必要/環境への影響指摘

【資料】青梅市議会2020年12月定例会 ひだ紀子一般質問抜粋

…三つ目の質問です。メガソーラー開発の事業計画と環境保全
 東京都内の固定価格買取事業者――これは発電のです――計画認定情報というのがインターネットで公開されています。今井1丁目の山の中に発電出力1万5000キロワット──15メガワットのメガソーラー計画が2015年に申請され、認定を受けていることが分かります。
 1メガワット発電するには、標準的なソーラーパネル5000枚が必要となるそうですから、7万5000枚のパネルを山の中に設置することになります。これを七国山周辺にどのように設置するのか、私は大変に不安に思います。
 木を全伐採し、斜面を利用したり、大規模な開発工事をしたりするなど、メガソーラー開発による自然破壊が各地で問題になっています。伐採は、周辺の住宅地の山崩れや水の被害につながるおそれもあります。今のところ工事は始まっていませんが、現地は青梅市のマスタープランでは自然環境活用ゾーン、すなわち自然環境に配慮しつつ活用する地域ということになっています。自然環境活用ゾーンでは、大規模な開発を目的とした切土、盛土は原則として認めないとなっていますが、メガソーラー開発に対しては、市はどのような認識を持っていますか。我が市の環境保全のためにどのような規制をかけることができるのでしょうか。市の見解を伺います。

市長

次に、メガソーラー開発の事業計画と環境保全についてお答えいたします。
 初めに、メガソーラー開発に対する市の認識についてであります。市内の今井1丁目地内に計画されているメガソーラー計画は、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法に基づき、今井1丁目2560番周辺の約31.8ヘクタールで、2015年3月19日に認定を受けているものと認識しております。
 青梅市環境基本計画では、基本方針として、再生可能エネルギー等の導入促進を掲げておりますが、一方で、緑豊かな森林を守り、育て、生かすといった森林の保全についても掲げております。
 当該メガソーラー計画では、大規模な森林伐採が想定されるものであることから、環境基本計画の森林の保全にそぐわないものと考えます。
 また、今井1丁目の計画地は、青梅市総合長期計画及び青梅市都市計画マスタープランにおける市街化調整区域の土地利用の方針で、自然環境活用ゾーンと位置づけております。この地域では、自然環境に影響を及ぼす施設について、適正な規制を行うとともに、大規模な開発や土砂などの処分を目的とした土地の埋立て、盛土及び切土は原則として認めないこととしており、青梅市緑の基本計画においても、自然環境に配慮しつつ、緑を活用していく地域となっております。こうしたことから、当該計画は、土地利用の視点からも、市の諸計画に整合しないものであると認識しております。
 次に、環境保全のための規制についてであります。資源エネルギー庁が策定している事業計画策定ガイドライン太陽光発電)において、事業者が遵守すべき事項と主な土地関係法令が示されており、様々な法令の遵守や周辺環境への配慮が求められています。
 今井1丁目の計画地では、国土利用計画法、森林法、宅地造成等規制法道路法、景観法、土壌汚染対策法、都市計画法及び土砂災害防止法、さらに東京における自然の保護と回復に関する条例などの適用が想定され、各法令等により一定の制限、規制がかかるものと認識しております。

ひだ
◆第7番(ひだ紀子) 3番目のメガソーラー計画についてです。メガソーラー計画について、私はこの計画のことをインターネットで確認して、もう次の日には現地へ行って、山を2時間歩いてみました。手入れがされている部分とされていない部分が混在している、青梅の里山によくある、そういうところでした。子どもたちが自転車で山の中を走ったりしていました。水も、川も流れていまして、ここを31.8ヘクタールのメガソーラーにしてしまうのは、私もとても耐え難い自然環境の損失になると感じました。
 それで、いろいろなのがありましたけれども、森林法に基づく都の林地開発許可制度、多分これにかかると思います。木を全伐採などした場合、伐採があった場合、事業が終わった後には、完全に元に戻せということなのです。これ厳しいのですよ。ところが、ここを曖昧にすると、行け行けどんどんで、お金もうけだけのための開発がなされてしまうわけです。
 ほかにも、自然環境保護条例、東京における自然の保護と回復に関する条例、これで必ず認可が審査されると思います。広いですから、恐らくは自然環境保全審議会にもかかると思います。
 その際には、自然調査なども徹底的になされますし、こうしたことの過程で、恐らく市に対して2回、意見照会、意見を言うチャンスが都から求められると思います。あります、チャンスがあります。
 そのときに青梅市がどれだけのことが言えるか、書けるか、私、とっても大事だと思っているのです。
 長野県の諏訪市で、200ヘクタールに及ぶ巨大なメガソーラー計画があったのですけれども、長野県のアセスの審査の途中で、諏訪市が、もう一つの自治体と2つの自治体が、非常に厳しい意見を出しました。別に、開発やめろとか言っていないのです。これができるのか。これを完璧にできるのか。この水はどうするのだ。どう回復するのだということを、もう事細かに要求したわけです。
 開発、駄目とは一言も言っていないのですよ。だけれど、結局それに応えるには、時間と費用がかかり過ぎるということで事業者は撤退して、200ヘクタールの自然地が守られたわけです。地元は本当に喜んでいます。
 青梅市はそのときに何を根拠に物を言うのでしょうか。青梅市には環境基本条例がありますよね。あの中で、開発事業者に対して求める環境上の要請ができるのです。そうなっているのです。どういうふうな要請をしていくか、基準を決めていくのですけれども、それが規則として決めていくと書いてあるのです、決めると。だけれど、私、いろいろ探したのですけれど、それが見つからないのです。青梅市には、そういう自然地、環境を損なう開発に対しての要請をするときの規則というのはないのですか。

◎環境部長(谷田部祐久) 青梅市環境基本条例に記載がございます規則についてでありますが、規則につきましては現在までに制定をしてございません。環境に影響を及ぼすおそれがある事業につきまして、現在までに規則に具体的に定めていないことにつきましては、課題であると捉えておりまして、今後検討していくものと考えてございます。

◆第7番(ひだ紀子) ないということならば、ぜひ急いで、しかも、今、国や都も、いろいろメガソーラーのことで見直しをしているのです、環境の保全のために。だから、そういうことをぜひ取り入れていただいて、メガソーラーが青梅市の環境に大きな影響を及ぼすような場合に、どういうふうな規制がかけられるかを念頭に置いて、ぜひその規則を決めていっていただきたい。急いでください、お願いです。
 それで、これは一民間企業の開発にとどまらない影響がありますので、ぜひ市民に情報提供をお願いしたい。
 この2つ、いかがでしょうか。

◎副市長(池田央) 最初の規則でございますが、例えばどの程度以上の規模をそういったものに該当させるのかとか、そういった部分、東京都や国、またほかの資料、そういうものを取り寄せないと、青梅市が定めていくのはなかなか難しいかなと思っておりますので、そういった作業に着手してまいります。
 それから、情報提供というのは、その事業の内容とか、そういうことでよろしいのでしょうか。
 市も、今インターネット上にある以上のことは聞いておりません。事業化になれば当然手続とかで市にも情報が来ますが、私ども、持っている情報はございませんので、まだ、情報提供のしようがないというのが現状でございます。

◆第7番(ひだ紀子) 情報が来ていないので情報提供できないというのは、消極的な姿勢なのですよね。情報をぜひ集めていただきたい。そして、それが必要な場合は、市役所の中で、また地元と、それから市民団体と共有していただきたい。そういう意味でお願いをしているのです。いかがですか。

◎副市長(池田央) 事業化についてお話がないという状況でございますので、情報提供のしようがないということでございます。

青梅市議会会議録】

次のリンク「P.75 12月01日-13号」より今井メガソーラー関連の答弁にたどり着くことが出来る。 日程一覧ページ