詐術の学び舎
阿須山中土地有効活用事業には、詐術と考えられる多くの工夫が満ちている。
当該事業最大ポイントのひとつ土地賃貸借料も例に漏れない。
この貸付料が成立する仕組みは既に解説している。
今回は、貸付の偽装の仕組み、さらに、「では、何故に市民はだまされたのか?」についても解説する。
この問題については、すでに、2年前から一部の市民は疑問を抱いていたものの「貸付料は国土交通省のデータと市条例に基づいて算定されている。安いように見えるが適切に算定されているようだ」との判断でそれ以上の追及が停止していたようだ。
以下より、心ある市民をだます欺しのテクニックを読み取っていただきたい。
公正貸付偽装に利用した2つの公(おほやけ)
1 国土交通省・都道府県地価調査価格(林地)
<地価調査> 国土利用計画法施行令第9条の規定に基づき、知事が毎年7月1日を基準日として、土地(基準地)の標準価格を調査し、公表しているものです。
各都道府県は基準地における毎年の地価を定点観測している。そのデータは国土交通省がまとめて公表。
埼玉県内で林地の基準地は5カ所。阿須山中市有地の貸付料算定基準地・飯能市可上名栗炭谷日影は基準地のうち最低価格となっている。
阿須山中市有地の貸付料算定にあたっては、この地価データを利用している。しかし、地方自治体と限らず、民間においても、土地価格の算定にあたっては、「当該土地」あるいは「近傍類似の土地」(※)の価格が参考価格となる。国土交通省土地価格調査で言う「交通施設(最寄り駅)飯能駅」からクルマで、阿須山中は10分弱3.9km、基準地の上名栗炭谷日影地内は30分20km。
公序良俗に反して、法外安価な土地価格を前大久保勝市政が捏造し、現新井重治市政はそれを容認している。
※阿須山中市有地の「近傍類似の土地」:飯能市内では阿須三王塚および孫治山、落合、岩淵などがそれにあたる。近隣の入間市青梅市立正佼成会隣接地の類似地も含まれる。クルマで21km、30分以上かかる飯能市上名栗該当地は含まれない。もちろん、もっとも近傍類似の土地は阿須山中市有地そのものであることは言うまでも無い。
阿須山中市有地と基準地・上名栗炭谷日影地内の比較
同条例は公正な公有地貸付を偽装するために飯能市が利用したもうひとつの道具である。当ブログでは、以下で解説している。
そもそも、阿須山中市有地は公有財産区分では普通財産であり、行政財産ではない。
市が算定にあたって「参考」にしたのは次の別表(第2条関係)である。抜粋する。
- 種類:土地
- 使用区分:建物若しくは工作物の敷地又は展示場、駐車場、材料置場等として使用させる場合
- 単位:月額
- 使用料:当該土地の適正な価格に1,000分の3.5を乗じて得た額
この別表を「参考」にする飯能市側のメリットは次の通りである。
- 公正の雰囲気を醸し出す「行政財産」を騙ることができる
- 貸付料算定基準の計算式で惑わし公正を演出できる
飯能市は、普通財産である阿須山中市有地の貸付料算定にあたって、「当該土地の適正な価格」を「遠隔相違の土地の不適正な価格」にすげ替えて、行政財産の貸付料算定式に組み込んだ。
大久保勝市政が実行し、新井重治市政が容認した公有地貸付事業は公募最低賃貸借料の設定が不正に安価であることが判明する。
さて、当ブログの主張に対する市職員とくに不正に関わったと思われる幹部らの反論はこうだ。「同条例は適用していない。参考にしたまでだ。だから問題は無い」。
当ブログは彼らに対して次のとおり反論する。
飯能市財産規則を無視する飯能市
飯能市には阿須山中市有地等の普通財産の貸付料算定基準を定めた条例規則がない。
しかし、会計事務執行にあたっては次の規則が定められている。一体性、首尾一貫性が強く求められる行政においては、財務会計全般に適用されてしかるべきである。
- (公有財産台帳価格)第12条 公有財産台帳に記入すべき価格は、購入に係るものは購入価額、交換に係るものは交換当時における評価額、収用に係るものは補償金額により、その他のものは次の各号に掲げる区分によって定めるものとする。
- (1) 土地については、近傍類似の土地の時価を基準として算定した価額
阿須山中市有地は「その他のもの」に含まれるため、その貸付料については、「近傍類似の土地の時価を基準として算定した価額」に基づき、公序良俗に従い、不動産鑑定士等の専門家の意見を参考にして、一般的な貸付料算定基準により算定されなければならない。
20kmもの遠隔地かつ相違の土地を基準地とした貸付料算定は不正行為であり、不正貸付料が定められた土地賃貸借契約は無効、さらに、この法外安価な最低賃貸借料を定めた公募自体も不正である。
飯能市は、阿須山中市有地に関する公有財産台帳を公開し、市民に正当性を証明すべきである。
飯能市による公有地不正貸付は刑事事件となりうる。森林文化都市が森林破壊型メガソーラー開発を推進するにあたって、あからさまな不正を行ったと考えられる。