飯能市メガソーラー疑惑

阿須山中サッカー場問題解説 by azneko

埼玉県知事からの回答

 「知事への提案」制度を利用して、埼玉県の大野元裕知事に対して要望書を提出。内容は、飯能市が推進する阿須山中土地有効活用事業のメガソーラー開発計画について、都市計画法・開発許可制度上の逸脱行為が認められるので、飯能市に対して、地方自治法245条第6項に基づき、是正改善措置勧告を行うように求めた。

 この要望書に対して、知事からの回答が届いた。

XX XX 様

 飯能市内でのメガソーラー建設に対して、飯能市都市計画法上、不適切な事務処理を行っているので、県知事として地方自治法に基づき是正勧告するべきではないかとのお話をいただきました。
 当該事業は阿須山中土地有効活用事業として飯能市が主体となり実施しているものです。県と市町村は基本的に対等な立場です。私が同市に事業の見直しを指示することはできないことはご理解いただきたいと思います。
 また、都市計画法に基づく開発許可に関しては、飯能市が責任を持って判断することになっています。法令の規定に違反する事実もない以上、本県が同市に対して是正の要求等をすることはできません。 
 飯能市にも市長への提案制度(同市ホームページから受付)がありますので、必要があればご意見をお寄せになってみてはいかがでしょうか。
 時節柄、どうぞご自愛ください。

 埼玉県知事 大野 元裕

  体よく断られたように見える回答書だが、収穫はあった。

 「法令の規定に違反する事実もない以上、本県が同市に対して是正の要求等をすることはできません。」という部分。

 違反や不適正があれば、県知事は是正等勧告ができると解釈したい。

 地方自治法245条第6項は、希にしか発動がない(※)。憲法にも保障された地方自治趣旨は、都道府県だけではなく国でさえ、市町村と対等な立場としている。

 この回答を導き出した要望書は次の通り。

【標題】飯能市・阿須山中土地有効活用事業での都市計画法上の許認可において飯能市は違法あるいは不適正な事務処理を行っているので是正改善措置勧告の発動を要望します

【要望】
 飯能市は標題の開発事業において、本来、サッカー場の開発区域に含まれるグラウンド周囲の法面の面積を加えると、この開発面積が1ha以上となり、都市計画法上の開発許可制度の対象であるにも関わらず、許認可事務の処理を実施しないことは、法令の規定に違反し、著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると考えますので、地方自治法245条第6項にもとづき、飯能市が適切に開発許可にかかる許認可事務の処理を実施するように是正改善措置勧告をお願いいたします。

【理由】
 飯能市は、自らが進行管理する阿須山中土地有効活用事業におけるメガソーラー発電所建設及びサッカー場建設の開発計画で、サッカー場の開発面積をグラウンド部分と既存の市道からの引き込み道路(幅員4m)を合わせた0.97haとして、開発許可は不要との見解を示しております。しかし、これは、グラウンドを囲む法面の面積を含まず、法の解釈に誤りがあります。
 この計画の開発行為の主目的は「サッカー場」の建設であり、その建設に必要な法面の面積はメガソーラー発電所建設のためではなく、サッカー場建設のための開発区域に含まれるものとなります(根拠:都市計画法第4条第12項、同第13項)
 これら面積を加えると1ha以上となり、都市計画法29条第1項及び第2項の第2種特定工作物を建設する目的で開発行為を行うことから都市計画法に基づく開発許可が必要になると考えます。

【補足】
 飯能市は、当該開発行為につきましては、自らが制定した「開発行為に関する指導要綱」における事前協議を行ったのみとなっております。

 ※市町村で自治事務(★)の処理が適正に行われない、あるいは、違法に行われた際には、都道府県による市町村に対する是正改善措置勧告が認められている。都道府県がこれを適正に実施しない場合には、国が県に対して市町村に対して是正改善措置勧告をするように指示できる。さらに、国は自治事務の処理が適正に行われない、あるいは違法に行われた場合で緊急性が認められる場合には、市町村に対して直接に是正改善措置勧告をすることができる。同様に、都道府県の不適切・違法な事務処理については国の代執行も可能だ(以上、地方自治法245条第6項および第7項)。

 最近では、沖縄県辺野古埋め立て取り消し処分は不適正であったとして、国がこれを撤回する代執行を行った例がある。

 ★都市計画法・開発許可制度の許認可権は、本来、県知事にあるのだが、条例により、飯能市に移譲されている。