飯能市メガソーラー疑惑

阿須山中サッカー場問題解説 by azneko

高額すぎる総工費。他施設と比較する

阿須山中サッカー場とは

 この阿須山中土地有効活用事業は、飯能市が20億円で取得した山林を一事業者のためにただ同然年120万円で貸し与えて、大和ハウスグループから引き出した資金62億円で建設を行う開発事業である。サッカー場の着工は2021年、開業は2022年を目指しているが、複数の法令許認可で飯能市指南の脱法もどき行為が発覚し、さらに、8月24日の埼玉県森林審議会では大部分の委員が反対を表明。県は林地開発許可の「4つの条件」は揃っていると表明しているものの、それさえ、危うく不許可もありうる。許可となる場合でも「厳しい条件」が付される可能性がある。
 コンセプトである「世界に羽ばたくサッカー選手を育成するサッカー場建設とそれを支える自然エネルギーメガソーラー建設」の主目的であるユースサッカークラブ専用公式サッカー場が、阿須山中サッカー場である。サッカー事業に対しては市民の応援の声が聞こえてくるが、広大な18.8haもの森林破壊を伴うメガソーラー建設は多くの飯能市民だけでなく他地域の市民の、さらに、埼玉県森林審議会の大部分の委員から開発反対が表明されている。

他の施設等との比較

 他のスポーツ施設等と比較すると、飯能市がことあるごとに言い出す事業目的「地方創生」は「政治の私物化による利権マネーの創出」と同義ではないか、との疑念がますます強まってくる。
 パナソニック・ワイルドナイツ複合施設(ラグビー場+α)との比較では、阿須山中サッカー場は総工費2倍弱。前者は、当然とはいえ、上下水道も常設トイレもあり、さらに、カフェも、飲食店も、クラブハウス、宿泊施設も駐車場もあり、開放された市民に愛されるラグビー施設をめざしているのに対して、後者は上下水道、常設トイレなど基本的な設備なしで、地獄の特訓用としか思えない過酷な環境の子供用サッカー場である。しかも、一事業者の独占使用で、ソーラー発電収入も独占である。世界のどこにもないと断言できる実にユニークなサッカー場なのである。
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物件名 総工費 用地面積 所在地 開業年 土地所有者 公共性※ 備考
さいたまスーパーアリーナ 650億円 4.5ha さいたま 1997  
メッツァ 145億円 18.7ha 飯能 2018 ムーミンバレーパーク、メッツァビレッジの2施設含む
イオンモール西戸田 87億円 6.0ha 戸田 2004  
阿須山中サッカー場(仮称) 62億円 18.8ha(うち市有地17ha) 飯能 2022見込 上下水道、常設トイレ、駐車場&観客席ナシ。自販機あり。一事業者を支えるソーラー発電所付設
パナソニック・ワイルドナイツ複合施設 35億円 3.0ha 熊谷 2021予定 ラグビー場、飲食店、カフェ、売店、クラブハウス、宿泊施設、埼玉県ラグビー協会入居予定
飯能市立図書館 12億円 0.6ha 飯能 2013  
(参考)昭和記念公園 650億円 165.3ha 東京立川 1983  

※阿須山中サッカー場の公共性「無」とした理由:開発計画を進行管理する飯能市は、当初、クラブ専用サッカー場としていたが、その後、市民への貸し出しを行うとの見解を資料によっては示している。しかし、メガソーラー調整池を兼ねるため、多雨時期(6月~10月)には、機能的・構造的に、グラウンドは頻繁に浸水状態となるのに加えて、冬場は、北斜面のため降雪凍結等により使用可能時期はごく限られる。クラブの使用期間も短い。また、駐車場や上下水道もなく快適ではないため、現実的には、市民が進んで使用するとは到底考えられず、実質的に濁流や極寒などの悪条件で特訓するためのクラブ専用サッカー場と考えるのが自然である。