飯能市メガソーラー疑惑

阿須山中サッカー場問題解説 by azneko

地方自治法 抵触の恐れも

概要

飯能市阿須山中土地有効活用事業は、市有地(山林)17haの事業者に対する貸付事業である。賃料は年120万円。土地賃貸借契約は2年ごと最長30年の更新が可能。

市有地17haに公募選定後事業者取得民地1.8haを加えて全開発面積18.8269ha。うち主要施設とされる「地方創生に資するサッカー場」0.9768ha。付帯施設メガソーラー17.8501haは全開発面積の95%。資金の大部分はこの「付帯施設」建設・運営に投じられる

この飯能市・阿須山中土地有効活用事業は、次の2点で地方自治法に違反している可能性がある。

1.適正対価なき市有地貸付

当事業の公募時最低賃料は、周辺区域 の市場価格及び不動産鑑定士等の客観的適正な見解を反映したものではなく、窓意的に安価な地価を反映したものであり、「適正な対価なき貸し付け」に該当する。

事業者の提案賃料が採用され、土地賃貸借契約の賃料に設定、公募時最低賃料を上回ったが、やはり、同様の理由で「適正な対価なき貸し付け」に該当する。

地方自治法に定める議決事件であるにも関わらず、議会に諮らず、市長専決処分として、この契約を締結したことは、地方自治法第96条第1項および第237条第2項に抵触する。したがって、本来的に、この土地賃貸借契約は無効と考えられる。

2.適正対価なき伐採木譲渡

飯能市は、阿須山中市有地内の立木の伐採木を事業者に無償譲渡したことが、議会での答弁や開示情報で判明している。この伐採木は有価物であり市有財産である。

この伐採木の無償譲渡は地方自治法に定めた「適正な対価なき譲渡」であるにもかかわらず、議会議決に諮らず、市長専決処分としたことは、「1.」と同様に、地方自治法第96条第1項および第237条第2項に抵触する可能性がある。この不適正取引を定めた、土地賃貸借契約書細目覚書は、本来的に無効と考えられる。

3.補足情報

飯能市議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例

市有地の貸し付け及び市有林伐採木の無償譲渡を議会議決に付すべき根拠をこの市条例に求めるべき、との見解が流布されているが、次に示す通り、財産貸付・無償譲渡を対象としないため、議決事件となるべき根拠にならない。

対象物件等
  • 予定価格2,000万円以上の不動産(土地については1件5,000m2以上に限定)
  • 予定価格2,000万円以上の動産
  • 不動産の信託の受益権
対象取引
  • 買入れ
  • 売払い

飯能市議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例

参考

地方自治法 関連条項

(議決事件)第96条 普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。 (1)~(5)略
(6)条例で定める場合を除くほか、財産を交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けること。 

(財産の管理及び処分)第237条 第2項 第二百三十八条の四第一項の規定(※)の適用がある場合を除き、普通地方公共団体の財産は、条例又は議会の議決による場合でなければ、これを交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けてはならない。

※行政財産に関する条項。当該市有地は普通財産であり該当しない。

地方自治法 | e-Gov法令検索

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