飯能市メガソーラー疑惑

阿須山中サッカー場問題解説 by azneko

林地開発許可は条件付きに。飯能市長あて含め全3文書掲載

 2020年9月25日付で、飯能市阿須山中土地有効活用事業公募の最優秀提案事業者である一般社団法人 飯能インターナショナル・スポーツアカデミーに対して、埼玉県川越農林振興センター所長より「林地開発行為の許可について(許可)」が出された。埼玉県で「許可付き林地開発許可」となるのは異例。全国的にも19もの条件付きは珍しい。さらに、同日付で、2つの通知が同所長より発出された。合計3つの文書となる。 

  1. 事業者あて許可書
  2. 事業者あて通知書
  3. 飯能市長あて通知書

 公文書番号が川農振第20293ー1号~3号の連番で、飯能市長あて通知書も同一案件扱い。

 以下、各文書ともに太字が標題である。

1.事業者あて許可書(全文)

指令 川農振第20293ー1号
埼玉県飯能市稲荷町21ー10ー103
一般社団法人 飯能インターナショナル・スポーツアカデミー
 令和2年7月6日付けで申請のあった林地開発行為については、森林法(昭和26年法 律第249号)第10条の2第1項の規定により、次の条件を付けて許可します。
令和2年9月25日
埼玉県川越農林振興センター所長 岡 眞司(公印)

条件
1 以下の条件に従って開発行為を行わない場合はこの許可を取り消すことがある。
2 開発行為は申請書及び添付書類の内容に従って行なうこと。
3 本工事を着手する前に起工測量を行い、その結果を速やかに届け出ること。
4 伐採・伐根したものは、埋設することなく搬出すること。
5 造成工事に当たっては、防災施設から先行して実施すること。
6 切土、盛土及び捨土工事に当たっては、施工中も計画勾配を超えないように努めること。
7 工事による土砂等が開発区域外に流出しないようにするとともに水質汚濁等の防止措置に努めること。
8 開発行為の施工中に、他法令について違反等が発生したときは、直ちに開発行為を中断し、問題の解決に、当たること。
9 開発行為の施工中及び施工後、盛土造成箇所において地下水位が確認されるなど、当初計画の想定、条件と異なった場合は適切に対処し、必要があればその時点で計画の変更を行うこと。
10 県の職員が開発行為の施行状況に関する調査を行う場合はこれを拒否しない。
11 開発行為を完了したときは、遅滞なく、埼玉県川越農林振興センター所長(以下「所長」という)に完了届け提出し、施工結果の確認を受けること。
12 開発行為を一時中断,又は廃止するときは、事前に所長に届けるほか、知事の指示に従い防災措置を講ずること。
13 開発行為に係る土地の権利の譲渡を行うときは、あらかじめ所長に届け出ること。
14 開発行為の計画を変更しようとするときは変更許可の申請を行うこと。
15 開発行為の施工中に災害が発生した場合又は災害の発生のおそれがある場合は、速やかに適切な措置を講ずるとともに所長に届け出ること。
16 工事記録写真その他の開発行為の記録に関する書類を整備すること。
17 開発区域外から土砂を搬入する場合は、汚染された土壌を持ち込まないこと。なお、土壌汚染対策法に基づく土壌汚染状況調査を実施した場合は、指定基準内であることを証する書類を施行状況報告書に添付すること。
18 その他事業の実施に当たっては「埼玉県森林法施行細則」「埼玉県林地開発許可事務取扱要領」 の内容に従って施行すること。
19 完了確認が終了するまで供用を開始しないこと。

教示
1 審査請求について
 この処分について不服がある場合は、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に埼玉県知事に対し審査請求することができます。
 ただし、この処分があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内であって も、この処分の日の翌日から起算して1年を経過したときは、審査請求をすることができなくなります。

2 取消訴訟について
 この処分の取消しの訴えは、この処分があったことを知った日(1の審査請求をした場合は、当該審査請求に対する裁定があったことを知った日)の翌日から起算して6か月以内に、埼玉県を被告として提起しなければなりません。この場合、当該訴訟において埼玉県を代表する者は、埼玉県知事です。
 ただし、この処分があったことを知った日(1 の審査請求をした場合は、当該審査請求に対する裁決があったことを知った日)の翌日から起算して6か月以内であっても、この処分の日(1 の審査請求をした場合は、当該審査請求に対する裁決の日)の翌日から起算して1年を経過したときは、処分の取消しの訴えを提起することができなくなります。

f:id:azneko:20201003145812j:plain

林地開発許可

 2.事業者あて通知書(全文)

川農振第20293ー2号

令和2年9月25日

一般社団法人 飯能インターナショナル・スポーツアカデミー

代表理事 木下聡一郎 様

埼玉県川越農林振興センター所長 岡 眞司(公印) 

  林地開発行為の許可について(通知)
 令和2年7月6日付けで許可申請のあった林地開発行為については、別添のとおり許可します。
 なお、事業の実施にあたっては、許可条件を遵守するとともに下記の事項に留意してください。

1 森林審議会からの意見について

 開発区域の多くが飯能市有林であり、かつ、市の土地有効活用事業による開発行為であることに鑑みて、次の事項について飯能市と事業者が協力し、地域の理解の促進に努めること。
(1) 開発区域内及び周辺において確認された希少野生生物の取り扱い
(2) 洪水調整池を兼ねるサッカーグラウンドの利用上の安全確保及び機能維持
(3)事業終了後における太陽光施設の撤去および原状回復等の措置
(4)当該開発行為に係る他法令の遵守

2 一般的事項
(1) 開発行為の施工中は、周闘の状況により「立入禁止」等の表示をし、事故防止に努めること。
(2)開発行為の施工中及び施工後において、調整池への侵入防止対策を行うこと。
(3) 開発区域内の調整池、排水施設を適正に維持管理すること。
(4)施工中、道路の通行に支障がないよう十分配慮すること。
(5) 開発行為に起因する苦情などの諸問題は、事業者の責任において解決すること。
(6)近隣住民との調整については、誠意をもって対処すること。

3 飯能市からの意見等について
 市との事前協議に係る指示等に対する回答書の回答内容を遵守すること

4 埼玉県みどり自然課からの意見等について
 県内希少野生動植物の個体の捕獲等をする場合は、埼玉県希少野生動植物の種の保護に関する条例第12条に基づく届出をすること。

5 埼玉県西部環境管理事務所からの意見等について
(1)奥武蔵県立公園普通地域となるので、工事着手の30日前までに「埼玉県自然公園条例J に基づく届出を提出すること。
(2) 3,000m2以上の土地の改変を行う場合は、工事着手の30 日前までに「土壌汚染対策法」に基づく届出を行うこと。
(3) 3,000m2以上の土地の改変を行う場合は、その土地の利用履歴を調査して「埼玉県生活環境保全条例」に基づく届出を行うこと。

6 埼玉県飯能県土整備事務所からの意見等について

 砂防指定地管理条例第6条第1項及び国有財産法第18条第3項に基づく申請は飯能市から収受している。


※県関係機関からの意見等については、現時点では届出がされているものも含まれています。

担当:森林保全・森林循環・木材利活用推進担当 篠田、佐藤 電話:042一973一5620

f:id:azneko:20201003152716j:plain

事業者への通知書

3.飯能市長あて通知書(全文)

川農振第20293ー3号

令和2年9月25日

飯能市長 様
埼玉県川越農林振興センター所長(公印省略)

 林地開発行為の許可について(通知)

 令和2年7月16 日付け2飯森林発第231号で林地開発許可申請に関わる意見について回答をいただいた別紙の申請については、別添写しのとおり条件を付して許可しました。
 本件については、森林法第10条の2第6項の規定に基づき、当該林地開発許可について意見を求めるため、埼玉県知事から埼玉県森林審議会会長へ諮問したところ、次の意見が付されたうえで、当該林地開発行為の許可はやむを得ないとの答申を得ました。

(森林審議会からの意見)
 開発区域の多くが飯能市有林であり、かつ、市の土地有効活用事業による開発行為であることに鑑みて、次の事項について飯能市と事業者が協力し、地域の理解の促進に努めるよう促すこと。
(1) 開発区域内及び周辺において確認された希少野生生物の取り扱い
(2)洪水調整池を兼ねるサッカーグラウンドの利用上の安全確保及び機能維持
(3)事業終了後における太陽光施設の撤去および原状回復等の措置
(4)当該開発行為に係る他法令の遵守

 これまでに、事業者による地元自治会への事業説明、貴市による市議会における説明や広報誌による周知など、地域の理解の促進に向け、一定の方策がとられていると承知しています。
 一方、飯能市民など複数の方々から当該事業に反対する意見が県や埼玉県森林審議会に寄せられています。
 当該事業を進めるにあたっては、地域の理解の促進に努めてくださいますようお願いします。

 担当:森林保全・森林循環・木材利活用推進担当 篠田、佐藤 電話:042一973一5620

(別紙)
1 申請者住所氏名 埼玉県飯能市稲荷町21-10-103
一般社団法人 飯能インターナショナル・スポーツアカデミー
代表理事 木下聡一郎

2 開発行為に係る森林の所在場所 飯能市大字阿須字孫治山469番18外15筆
3 開発行為に係る森林の面積 13.7213ha
4 開発の目的 サッカーグラウンド及び太陽光発電所の整備
5 事業期間  許可の日から令和4年3月31日

(以上)

【「飯能市長あて通知書」解説】

「(事業者および飯能市によって)地域の理解の促進に向け、一定の方策がとられていると承知しています」とあるが、住民説明会会議録は形式、内容ともに偽造や不適正、違法脱法行為を示し問題山積。「市議会における説明」では、市議会中心人物と幹部の結託により討論回避のための動議、議事進行や反対派市議への問責決議等々で常識はずれの攻撃を繰り返し、「(市の)広報誌による周知」ではメガソーラー問題は無視して形ばかりの地方創生・国際交流をうたい市民を欺くものであったのに県が一定の評価を与えているのは問題である。市民は、このことを県に対して指摘して、内容を訂正させるべきである。飯能市自らが発行した宣伝文書、市議会会議録、記録映像など市民を欺いた証拠は盛り沢山である。

 しかし、この文書は、今後、飯能市の阿須山中土地有効活用事業に対して、範囲は限られるものの県の指導権限の根拠となりうる。

f:id:azneko:20201003152818j:plain

更新:

2020年10月4日 許可書・通知書の全文をテキストで掲載した。

2020年10月8日 誤字訂正


#太陽光発電