飯能市メガソーラー疑惑

阿須山中サッカー場問題解説 by azneko

【比較検証】伐採木問題:広島市と飯能市

広島市では業務上横領事件に発展

公有地伐採木の処分にかかる不正あるいは不適正問題は、飯能市以外でも起きている。

広島市が2001年の新埋立地選定作業着手から2008年の建設工事決定・環境アセスメントを経て、2022年内の供用開始をめざし進めている佐伯区湯来町の恵下(えげ)処分場建設工事である。この事業では、市が伐採木の廃棄処分を依頼した事業者が契約に反して、市場に直売し、本来、市が得るべき売却益等を得たとして、事業者および社員ら5名および2社が業務上横領等で書類送検されている(2018年11月報道)。市は事業者らを入札停止処分とした。

その後、事業者らは不起訴処分。送検の1年前に、市民の指摘と監査請求により市が不適正を認めて、不正利得分を事業者らに返還させたこと、市有林の伐採木の処分は有価物として制度設計するべきところを市がそれを怠り、無価物として廃棄処分としたことも事件発生の要因であり、事業者らだけが責められるべきではなく、情状酌量の余地があり、不起訴となった公算が大きい。

この広島市伐採木問題は、住民監査請求(2017年8月)を含めて市民の市政に対する疑惑追及が刑事告発に結びつき警察を動かし、市政の歪みを正した例として参考にしたい。

飯能市の阿須山中土地有効活用事業(事業区域面積17ha)では、わずか1ha弱の地方創生を名目としたクラブ専用サッカー場を口実にして、その数百倍の工費のメガソーラー開発計画が住民同意偽造等々の違法脱法行為が行われつつ進行中である。

市有林伐採木問題も看過することはできない。飯能市が不適正に作成し、事業者と締結した土地賃貸借契約書と細目覚書を根拠に推定数千万円以上の伐採木を事業者に無償譲渡。事業者が市場に売却し利益を得ているのである。行政主導による計画的で大規模な資産流出であり明らかな背任行為と考えられる。

伐採木問題比較検証表

飯能市の阿須山中土地有効活用事業では伐採木問題以外に多くの違法脱法行為が疑われているが、ここでは、伐採木問題に限定した。

市名 広島県広島市 埼玉県飯能市
事業名 恵下埋立処分場建設工事 阿須山中土地有効活用事業
事業概要 建設事業者は一般入札選定。市支出による市有地での一般廃棄物最終処分場建設事業。2016年本体工事着工。2022年内供用開始予定。 公募選定事業者に地方創生名目で市有地貸与。2020年着工。最優秀提案はクラブ専用サッカーグラウンド0.97ha&付帯設備メガソーラー(6.4MW)建設運営。2022年9月完成予定
総工費 204億円 ※1 61億7千万円 ※2
事業区域面積 102ha 17ha※3
売却数量 880立米 7010立米 ※4
流出金額 560万円 うち売却益349万円 数千万円以上(推定※5)
売却根拠 なし。契約に反する

説明:市は伐採木を無価物とし、事業者に廃棄処分を依頼した。運搬・処分費用が支払われたにも関わらず事業者は伐採木の一部を市場に直売して利益を得た。
契約(正当性が疑われる)

説明:契約書・覚書は伐採木の市から事業者への無償譲渡と事業者が売却益を得ることを認めている。
問題行為 事業者による横領行為

事業者が伐採木を市場直売、本来の廃棄処分場までの運搬・加工費用、売却益を横領。市が有価物の立木を無価物として廃棄処分する制度設計も不適正。
市による背任行為

市が伐採木を事業者に無償譲渡した。事業者はこれを売却して利得を得た。
共通問題 市が得るべき伐採木売却益が事業者に渡った
住民監査請求 あり なし
住民監査請求結果 監査委員会の勧告あり 
市長に対する措置内容「事業者が得た不当利得等の返還請求」
司法関係 市民が県警に刑事告発。佐伯署は大林組と下請社員ら5名 業務上横領、他2社を廃棄物処理法違反容疑で書類送検(2018年11月報道)

その後、全員不起訴。理由「事実認定するに足る証拠がない。情状全般を考慮」
未定

※1 恵下埋立地(仮称)関連の工事情報(広島市HP)の全24件契約金額集計

※2 埼玉県森林審議会資料に資金計画金額として記載。しかし、許可後の変更以降の詳細は市側開示資料が黒塗り隠ぺいされており不明。

※3 公募選定後、事業者取得の民地1.8haを加えると合計18.8haであり、都市計画法上の太陽光発電開発区域は全面積の95%に及ぶ。

※4 飯能市開示情報「伐採樹木処分数量一覧」集計。当初見積7075t比重0.5なら14150立米とも。飯能市開示情報は根拠不明な内容が見受けられるため未確定である。

※5 推定数千万円以上 参照 伐採木評価額を試算する - 飯能市メガソーラー疑惑

広島市恵下処分場伐採木問題資料

事業概要

恵下埋立地(仮称)の整備について広島市HP)

住民監査請求関連(広島市HP)

恵下埋立地(仮称)建設工事に係る伐採木の処分について監査結果 平成29年10月6日公表

恵下埋立地(仮称)建設工事に係る伐採木の処分について 監査結果 平成29年12月6日公表

住民監査請求に基づく監査の結果に対する措置事項について 平成29年12月28日公表

市民活動

THINK EGE!恵下埋立地事業を知ってください

ノラぶん雑記帳 恵下埋立地問題

新聞記事(見出しのみ)

中国新聞2017(H29)年9月14日 広島市の恵下処分場建設の伐採木 市「産廃扱い」業者が転売 「市に損害」住民が監査請求 市「契約上問題ない」

中国新聞2017(H29)年10月11日 広島市の恵下処分場の伐採木 契約違反の直売を認定 市監査委員 転売は住民訴え退け

中国新聞2017(H29)年10月13日 伐採木問題 誠実対応を(報道部記者論評)

中国新聞2017’(H29)年12月7日 木材売却益349万円請求 処分場問題 広島市、業者から受領

中国新聞2018(H30)年11月2日 広島市処分場建設の伐採木直売 請負業者側を書類送検 佐伯署 業務上横領疑いなど 市は再発防止強化を

中国新聞2019(H31)年1月5日 広島の伐採木直売 業者側不起訴

謝辞

本稿をまとめるにあたっては、広島市恵下処分場問題に詳しいN氏より詳細な資料・見解をお送りいただいた。感謝申し上げる。