飯能市メガソーラー疑惑

阿須山中サッカー場問題解説 by azneko

【検証内容の検証 1】「貸付金額は妥当」は不適正 (1)添削

「貸付年額120万円は妥当」ではない

重要検証項目「賃貸借料が年間 120 万円となることの根拠について」を掲載し、誤りを赤字で示し、青字で修正した。

2 検証内容等について 

⑴ 事業者選定及び太陽光発電事業の経緯について 
① 賃貸借料が年間 120 万円となることの根拠について
阿須山中土地有効活用事業者公募要領(土地賃貸借による有効活用事業)(平成 29 年 10 月 飯能市財務部管財課作成。以下「公募要領」という。)の「3 提案に当たっ ての基本的な考え方」、「(6)土地賃借料」において、最低賃借料を月額 72,660 円と して公募を行った結果、最優秀提案事業者であるアカデミーが月額 100,000 円として 提案したものである。 

なお、最低月額賃借料は「平成 29 年度地価調査価格(林地)(※1)並びに飯能市行政財産の使用料に関する条例(平成 17 年条例第 46 号)別表(※2)を参考に算出」されている。

最低賃借料は公募開始直前の地価調査価格と飯能市行政財産の使用料に関する条例別表の規定(土地については、「建物若しくは工作物の敷地又は展示場、駐車場、 材料置場等として使用させる場合」の月額を「当該土地の適正な価格に 1,000 分の 3.5 を乗じて得た額」とする規定)を参考に算出されており、このことについては、 公募要領において当初から明らかにされている。

約 20 億円をかけて飯能市土地開発公社から買い戻す土地に係る最低賃借料につい て、月額 72,660 円が適当か否か、庁内での議論の有無について決裁文書では確認できなかったが、金額設定に当たって、その根拠としては客観性があり、妥当といえる。 

[修正] その根拠としては客観性も妥当性もなく、恣意的で、きわめて適正を欠くものである。

ただし、算出に当たっては飯能市大字上名栗の基準地の価格を用いていることから、 更に客観性を確保するために、

[修正] 算出に当たっては飯能市大字上名栗の基準地の価格を用いて適正を偽装している。この土地は「当該土地」とは言いがたく、不当安価な金額設定のために利用しているものである。客観性を確保していない。

当該事業地において個別に不動産鑑定評価を取得する方法も考えられたのではないか。 

[修正] 当該事業地において個別に不動産鑑定評価を取得する方法が妥当であった。 

なお、令和元年 12 月 10 日に締結した土地賃貸借契約書(土地造成期間)の第 4 条 第 3 項において、「貸付料は、土地の価格上昇等を勘案し、甲乙協議の上、将来の貸付料の額を見直すことができる。」としている。 

(注釈)※1 国土交通省都道府県地価調査・埼玉県(林地)平成29年度 基準日7月1日より。この調査自体が公正だとしても、飯能市は、阿須山中市有地土地を当該土地そのものの評価はせずに、きわめて安価な遠隔相違の土地を基準地に選定している。 

※2 一見、公正を装うが、行政財産に適用される条例であり、普通財産である阿須山中市有地に適用されるものではない。

次の投稿では、検証報告が妥当とする貸付金額が適正ではなく、事業を根幹で支える土地賃貸借契約そのものが不適正であることを詳述する。

更新

2022年6月2日 近傍類似の土地→当該土地

2022年6月7日 投稿タイトル変更

 (新)【検証内容の検証 1】「貸付金額は妥当」は不適正 (1)添削 

 (旧)【検証内容の検証 1】「貸付金額は妥当」を正す(1)添削

検証報告書

新井重治市長を座長とする阿須山中土地有効活用事業検証委員会による検証報告書が、飯能市ホームページで公開された(公開日2022年5月24日)。

阿須山中土地有効活用事業の検証について|飯能市-Hanno city-

「検証内容の検証作業」の利便に供するために、以下に転載する。

※目次は各項目にリンクしており、全体を把握した上で各項目に即時にジャンプすることができる。

なお、同報告書の内容に関する当ブログの見解は後日投稿する。


 

阿須山中土地有効活用事業検証報告書
  
令和 4 年 5 月 23 日  
阿須山中土地有効活用事業検証委員会

<目次>

1 はじめに 

阿須山中土地有効活用事業については、これまで議会での質疑、一般質問等を通じて、また、広報、ホームページ等で市民に対して繰り返し説明を行ってきているものの、いまだ疑問や不安を感じている市民の方が一定数おられることから、「阿須山中土地有効活用事業検証委員会(以下「検証委員会」という。)」を置き、改めて当該事業について検証を行うこととした。 

検証に当たっては、検証委員会の委員に 4 名の課長級職員を充て、各担当部署に おいて保存している阿須山中土地有効活用事業に関する一連の文書を確認するとともに、担当職員等へのヒアリング、阿須山中土地の現地確認、技術顧問との協議 など、検証のための作業を行った。 

そうした検証作業によって確認できた内容と、技術顧問の意見等を踏まえ、検証委員会では、5 区分・20 項目について検証を行った。 

令和 4 年 5 月 23 日 

阿須山中土地有効活用事業検証委員会 

座長 新井 重治

【検証事項】 

⑴ 事業者選定及び太陽光発電事業の経緯について 

① 賃貸借料が年間 120 万円となることの根拠について 
飯能市市有財産に関する民間事業者提案制度はいつから開始され、どの場所を適用させているか。阿須山中の土地以外での実績はどうか。 
③ 提案者の中から一般社団法人飯能インターナショナル・スポーツアカデミー (以下「アカデミー」という。)を最優秀提案事業者に決定した経緯について、 何件の応募があり、どのような過程・視点で決定に至ったか。 
太陽光発電事業を行うこととなった経緯について 
⑤ アカデミーの太陽光発電事業の実績の有無について 
サッカー場太陽光発電の立地割合が 1:10、駐車場がない、トイレが仮設である、観覧席もないことなど、サッカー場としての機能が決定事業者として妥当であるか。
⑦ 住民説明会の内容について 

⑵ 課税・財産処分について  

⑧ 阿須山中の土地の課税面の扱いはどのようになるか。  
太陽光発電パネル等の課税面の扱いはどのようになるか。 
⑩ 伐採木の処分について 

⑶ 環境面について 

⑪ 市有林を大きく伐採してサッカーグラウンドにすることについて、森林文化都市としてどう考えるか。 
⑫ 環境に与える影響を調査しなくて本当によかったのか。 
⑬ コクラン等の移植作業に係る報告の内容について 
⑭ コクラン移植後の生態、他希少生物への影響について、カモシカ等動物の生態への影響について 

⑷ 防災面について 

⑮ 事業の実施に伴う土砂災害等の影響について【※技術顧問による検証】 

⑸ 土地の区画形質の変更に伴う手続等について 
⑯ 法面をサッカーグラウンドの面積に含めないこととする根拠について

太陽光発電施設の管理通路について 
⑱ サッカーグラウンド部分の面積の相違について 
⑲ 林地開発許可申請の添付書類(説明会出席者名簿)について

⑳ 県道から新たに築造された私道について

2 検証内容等について 

検証を行った 5 区分・20 項目の内容等については、次のとおりである。   

⑴ 事業者選定及び太陽光発電事業の経緯について 

① 賃貸借料が年間 120 万円となることの根拠について

阿須山中土地有効活用事業者公募要領(土地賃貸借による有効活用事業)(平成 29 年 10 月 飯能市財務部管財課作成。以下「公募要領」という。)の「3 提案に当たっ ての基本的な考え方」、「(6)土地賃借料」において、最低賃借料を月額 72,660 円と して公募を行った結果、最優秀提案事業者であるアカデミーが月額 100,000 円として 提案したものである。 

なお、最低月額賃借料は「平成 29 年度地価調査価格(林地)並びに飯能市行政財 産の使用料に関する条例(平成 17 年条例第 46 号)別表を参考に算出」されている。

最低賃借料は公募開始直前の地価調査価格と飯能市行政財産の使用料に関する条例別表の規定(土地については、「建物若しくは工作物の敷地又は展示場、駐車場、 材料置場等として使用させる場合」の月額を「当該土地の適正な価格に 1,000 分の 3.5 を乗じて得た額」とする規定)を参考に算出されており、このことについては、 公募要領において当初から明らかにされている。 

約 20 億円をかけて飯能市土地開発公社から買い戻す土地に係る最低賃借料につい て、月額 72,660 円が適当か否か、庁内での議論の有無について決裁文書では確認できなかったが、金額設定に当たって、その根拠としては客観性があり、妥当といえる。 ただし、算出に当たっては飯能市大字上名栗の基準地の価格を用いていることから、 更に客観性を確保するために、当該事業地において個別に不動産鑑定評価を取得する方法も考えられたのではないか。 

なお、令和元年 12 月 10 日に締結した土地賃貸借契約書(土地造成期間)の第 4 条 第 3 項において、「貸付料は、土地の価格上昇等を勘案し、甲乙協議の上、将来の貸 付料の額を見直すことができる。」としている。 

飯能市市有財産に関する民間事業者提案制度はいつから開始され、どの場所を適用させているか。阿須山中の土地以外での実績はどうか。

飯能市市有資産に関する民間事業者提案制度は、市有資産の有効活用を一層推進す るためには、民間事業者のノウハウやアイデア等を活用することが必要であることから、市有資産の活用を図るための提案を幅広く募集する仕組みとして導入されたもの である。 

市有資産の有効活用に当たって、民間事業者からの事業提案を求めるといった考え 方は、「飯能市公共施設等マネジメント基本方針」(平成 28 年 3 月策定)、「飯能市公共施設等総合管理計画」(平成 29 年 3 月策定)に掲げられており、本制度の導入によ って具体化されたものである。 

本制度は、管財課資産経営室の職員を中心に検討が進められた。検討段階では、旧 ステップや市営住宅跡地などへの適用を見込むなど、幅広い対象に適用できるよう制度設計がなされている。また、事業者選定の際の評価基準を明らかにするため、公募 の際に定める実施要領に評価基準となる点数を示して公表することについても検討 されている。 

本制度は、平成 29 年 7 月 5 日開催のスタッフミーティング、同年 7 月 19 日開催の調整会議、同年 9 月 21 日開催の庁議・調整会議において検討が重ねられた結果、庁内の意思決定が図られたものである。また、併せて、同制度を阿須山中土地に適用することについても、同年 9 月 21 日開催の庁議・調整会議において決定された(庁議 議題「飯能市市有資産に関する民間事業者提案制度」(案)の創設及び「土地開発公 社先行取得用地(阿須山中)」への当該制度の活用について)。 

阿須山中土地について本制度を活用して利活用方策を検討していくことは、これま で市議会における一般質問等を通じて、バーべキュー場、キャンプ場、墓地、霊園な どの利活用方策のほか、民間事業者からの提案を求めることなどの提案がされてきた こと、「飯能市行政改革・財政健全化実施計画」及び公共施設に関する前記の計画等における方針を踏まえたものといえる。 

この飯能市市有財産に関する民間事業者提案制度については、阿須山中土地(阿須 山中土地有効活用事業)のほか、トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園飲食店運営事業者公募(平成 29 年 10 月)を行うに当たり、活用されている。 

③ 提案者の中からアカデミーを最優秀提案事業者に決定した経緯について、何件の応募があり、どのような過程・視点で決定に至ったか。

市の職員 11 人を委員とする「阿須山中土地有効活用事業者選定委員会(以下「選定委員会」という。)」を組織し、平成 29 年 10 月 12 日開催の第 2 回選定委員会会議において、公募要領を決定した。 

同年 10 月 13 日に公募要領を公表、同日から同年 11 月 6 日までを期間として、参加表明書の受付を開始した。受付の結果、3 者から参加表明書の提出があり、うち 1 者については同年 11 月 28 日付けで辞退届の提出があった。

公募要領では、「4 事業者の資格要件」として、「経営が健全性を欠くと認められる者」は、応募できないこととしている。この項目は、事業者の経営健全性を判断するため、その財務状況に着目し、直近過去 3 年間の決算が連続して赤字となっている場合には応募できないこととしたものであり、設立してからの年数を資格要件として 設けているものではないと考えられる。このことについては、第 2 回阿須山中土地有効活用事業者選定員会(平成 29 年 10 月 12 日開催)において議論されていることが確認できた。 

((議論の内容)「4(3)応募の制限」で、「カ 経営が健全性を欠く」とはどのよう な場合を想定しているのか。1 年未満の場合はどうするのか。1 年目は赤字の可能性が高いので、それだけをもって「健全ではない」との判断は公平性を欠いていると思う。⇒3 年未満あるいはこれから法人格を取ろうとする場合でも参加を認める が、評価のときに差をつけるということである。) 

最優秀提案事業者は、公募時点において法人設立から 2 年 3 か月(平成 27 年 7 月 1 日設立)であったが、公募要領の「3 年間連続して赤字」という制限には該当しない。また、要領では設立からの年数を資格要件とはしていないことから、当該事業者が応募資格を有していないとはいえない。 

平成 29 年 11 月 27 日から平成 30 年 1 月 26 日までを期間として、事業提案書、土地賃借料提案書を受け付け、2 者から提出された事業提案書等を基に平成 30 年 2 月 5 日に「事業提案審査」がされ、同年 2 月 7 日及び 8 日に選定委員会を開催した。 
選定の際の評価基準を明らかにするために、審査項目、各項目の配点、得点の付け方については、公募要領の「7 審査(3)審査の基準」においてあらかじめ公表されてお り、当該基準に従い審査を行った結果、アカデミーを最優秀提案事業者に、1 者を次点優秀提案事業者に決定した。 

審査項目中、「イ提案内容b本市の地方創生(ひとづくり)につながる提案」において、アカデミーの提案が特に高い評価とされたが、このことについては、「本市の地方創生につながる提案」において、「(まちづくり)」、「(ひとづくり)」、「(仕事づく り)」の配点が、それぞれ「40 点」と、他の項目の配点(10 点又は 20 点)と比較して高配点とされていたことが大きく反映された結果となっている。 

なお、選定委員会の各委員による審査・選定については、公正に行われていたこと を確認した。 

太陽光発電事業を行うこととなった経緯について

アカデミーの提案内容は、当初から、「サッカーを通じた人材育成(メイン事業)」 及び「太陽光発電事業(附帯事業)」の 2 つの事業から構成されており、附帯事業による収益を、メイン事業である人材育成のためのサッカー選手育成支援トレーニング センター(サッカーグラウンド)の建設費、維持管理費等に充てるとしていた。

このことについては、アカデミーは最優秀提案事業者として決定を受けた後、令和元年 9 月 19 日に市に開発行為事前協議を申し出る前の同年 7 月 28 日及び 8 月 10 日 に、阿須自治会館において地元説明会(周辺住民等説明)を開催し、また、自ら作成 した事業のパンフレット等を各地区行政センターに配架するなど、市民等に対して周知を図ってきたが、附帯事業である太陽光発電事業が注目され、一部の市民の間からは事業そのものに対する反対の声が上がるようになっていった。 

⑤ アカデミーの太陽光発電事業の実績の有無について

平成 29 年 10 月 16 日付けで、アカデミーが市に提出した事業の参加表明書に添付 されたアカデミーの履歴事項全部証明書の「目的等」の欄には、太陽光発電事業に関 する事項は記載されていないことから、アカデミーは単独で太陽光発電に関する事業 を行うことはできないと考えられるが、事業を行うための事業者の構成団体として、 株式会社ジー・スリーホールディングス(東京都品川区)が加わっている。株式会社 ジー・スリーホールディングスの履歴事項全部証明書の「目的」の欄には、「環境エネルギー事業」に関する事項が記載されていることから、同社が太陽光発電事業を担うことで、附帯事業も含めて、アカデミーによる阿須山中土地有効活用事業が行われることになっている。 

サッカー場太陽光発電の立地割合が 1:10、駐車場がない、トイレが仮設である、観覧席もないことなど、サッカー場としての機能が決定事業者とし て妥当であるか。

公募要領では提案に当たっての基本的な考え方を、「土地の全部を活用した提案」、 「地方創生に向けた取組である提案」、「安定した持続可能な運営」であること等としている。最優秀提案事業は、「サッカーを通じた人材育成」及び「太陽光発電事業」の2つの事業から構成されており、太陽光発電事業による収益をサッカーを通じた人材育成に必要な施設の建設費、維持管理費等に充て、事業計画に持続可能性を持たせようとするものであり、公募要領で示す基本的な考え方と整合している。

なお、各施設の立地割合は土地利用の条件や審査の対象としていない。また、対象土地については、公募要領において「上水道、下水道の事業認可区域外であり、 管きょ延長などの整備の予定はなく事業者が敷設することもできないことから、提案する内容によっては、上水は井戸、下水は浄化槽等を計画するなどの検討が必要」 と示している。サッカーグラウンドについては、(その規模から都市計画法第 29 条 第 1 項に基づく開発許可の対象に該当しないが、)飯能市開発行為に関する指導要 綱第 5 条第 1 項第 3 号及び第 6 条第 1 項の規定による事前協議を終了している。サ ッカーグラウンドの附帯設備については、土地の条件等を鑑みて事業者が設置の必 要性を判断し、必要であれば手続を進めるべきものであり、事業提案・審査の段階 で有無に対する妥当性を判断する事項ではないと認められる。 

アカデミーは、観覧席、送迎用駐車場の設置は不要、トイレは仮設で対応すると している。 

⑦ 住民説明会の内容について

住民説明会の時期の設定、案内、配布資料に太陽光発電施設に係る説明が不足していたといった疑問について検証を行った。 

住民説明会は、事業実施区域となる阿須自治会及び近隣住民を対象に、事業の進 捗に合わせてこれまでに6回開催されている。 

1 令和元年 7 月 28 日(日)午後 5 時から 阿須自治会館 
 対象:阿須自治会役員 
2 令和元年 8 月 10 日(土)午前 11 時から 阿須自治会館 
 対象:阿須自治会役員、近隣住民 
3 令和 2 年 10 月 11 日(日)午前 10 時から 阿須自治会館 
 対象:近隣住民 
4 令和 2 年 10 月 11 日(日)午後 1 時 30 分から 阿須自治会館  対象:阿須自治会役員、エリアリーダー 
5 令和 2 年 11 月 29 日(日)午後 1 時から 阿須自治会館 
 対象:阿須自治会員等 
6 令和 2 年 12 月 12 日(土)午前 9 時から 阿須自治会館 
 対象:阿須自治会役員、エリアリーダー 

1 及び 2 の説明会はアカデミーが開催し、事業(サッカー及び太陽光発電)、造成 計画等について説明している。説明会開催後の令和元年 9 月 19 日に飯能市に対し て開発行為事前協議申出書が提出されている。 

3、4、5 及び 6 の説明会は、令和 2 年 9 月 25 日に埼玉県の林地開発許可が下り た後に、アカデミー及び市が開催したもので、阿須山中土地有効活用事業の経緯、 事業(サッカーを通じた人材育成及び附帯事業としての太陽光発電事業)の内容、工事の内容等について許可後の具体的な内容を踏まえて説明している。説明会は、 飯能市への開発行為事前協議申出書の提出前、埼玉県の林地開発許可後の時期に開催されており、各時点における最新の状況を住民に周知することのできる時期に設定されたものであると認められる。事業に関しては、サッカーを通じた人材育成事 業とグラウンドの整備及び附帯事業としての太陽光発電事業について、全体の造成 計画とともに説明されている。また、阿須自治会とは自治会館への非常用電源の設 置についても協議されていることから、太陽光発電施設に関する説明はされていた ものと判断した。

⑵ 課税・財産処分について 

⑧ 阿須山中の土地の課税面の扱いはどのようになるか。

土地の評価は賦課期日現在(1 月 1 日)の現況、利用目的等によって地目認定を行 い課税する。 

工事等が完了すると、事業用地の地目は「山林」又は「雑種地」から、「雑種地」 又は「雑種地(太陽光発電施設用地)」に変更となる。 

市有地については非課税であるが、事業区域内に所在する私有地については、地目が変更され、課税される。 

1㎡当たりの税額は、「山林」が約 0.7 円であるのに対し、「雑種地」は約 46 円、 「雑種地(太陽光発電施設用地)」は約 23 円となり、奥行き、不整形、がけ地などの 各種補正が加わるが、全体の税額については若干の増額となる見込みである。 仮に令和 4 年中の完成とすると、令和 5 年度からの課税となる。

※「雑種地(太陽光発電施設用地)」は、令和 3 年度飯能市固定資産評価要綱から適用 

太陽光発電パネル等の課税面の扱いはどのようになるか。

事業用の太陽光発電設備については、償却資産として評価し課税対象となる。また、 ほかにもサッカーグラウンドの設備として、「照明」、「防球ネット」、「U字側溝」、「ト イレ(仮設)」、「物置(仮設)」、「井戸」、「サッカーゴール」、「グラウンド(芝)」などが償却資産としての課税対象になり得る。 

税額については、取得価額を基礎として法定耐用年数及び取得後の経過年数に応ず る減価を考慮して計算する。太陽光発電設備の法定耐用年数は 17 年である。

※現時点においては、課税対象となる資産が設置されておらず、取得価額も不明のため、税額を算出することはできない。 

⑩ 伐採木の処分について

公募要領では、土地の賃貸借は現状有姿で行うこと、提案事業の実施に必要な手続 等については、事業者自らの責任及び費用負担により行うこととしていることから、 市で立木の伐採や伐根を行うことは想定していない。また、伐採する立木の取扱いについては、市と協議することとしている。令和元年 12 月 10 日に市とアカデミーで締結した土地賃貸借契約書(土地造成期間)では、貸付物件の現状を変更しようとするときは市の承認を得ること、伐採した立木の取扱いは両者協議の上決定することとしている。 

伐採した立木を市で売却するためには、搬出や運搬など売却に要する費用については市で負担する必要がある。見積りを徴取して経費について試算を行った結果、伐採木の売却金額では売却に必要な経費を賄うことができないと判断し、事業者に処分させることとしたもので、市に損害を与えるものではないと考えられる。

⑶ 環境面について 

⑪ 市有林を大きく伐採してサッカーグラウンドにすることについて、森林文化都市としてどう考えるか。

本市は平成 17 年 4 月 1 日に、「森林と人とのより豊かな関係を築きつつ、自然と都 市機能とが調和するまちの創造をめざし、『森林文化都市』を宣言」した。また、同宣言において、「森林資源を活用し、新たな森林文化の創造により、心豊かな人づくりと、活力あるまちづくりを推進します。」としている。 

本市では、阿須山中土地有効活用事業における森林文化都市宣言の考え方について は、議会に対して、「自然保護、環境保護を否定する考えは全くございません。本市は森林、特に林業とともにまちを発展させ、人々の暮らしを豊かにしてきた歴史を踏 まえ、森林文化都市宣言を平成 17 年 4 月に行っております。(略)この事業におきましては、事業地である 17 ヘクタールの森林全てが伐採・伐根されるわけではなく、17 ヘクタールのうちの 5 ヘクタールは森林法の規定に基づき残置森林という形で現 況を残さなければならないこととされております。市といたしましては、この 5 ヘクタールの残置森林を活用し、このすばらしい環境を後世に残していきたい。緑あふれる環境を未来につないでいきたいと考えております(以下省略)。(※令和 2 年第 2 回市議 会定例会 6 月 17 日/滝沢修議員の一般質問に対する産業環境部長答弁)」などと、説明してきた。 

担当で保存している阿須山中土地有効活用事業に関する文書の中からは、森林文化 都市としての理念を前提とした議論がされたかどうかについては確認できなかった。

地方創生、人材育成、青少年健全育成等と自然保護、環境保全を秤にかけるように論じることはできないが、阿須山中土地有効活用事業が森林資源を活用した新たな森 林文化の創造につながるものであるならば、自然保護、環境保全との関係、その考え方について、時間をかけて議論する必要もあったのではないかと考える。 

⑫ 環境に与える影響を調査しなくて本当によかったのか。

環境保全に関する事項については、阿須山中土地有効活用事業の公募段階から、公 募要領「3 提案に当たっての基本的な考え方(5)事業者の責任」の中で「関係法令、 飯能市環境保全条例(平成 8 年条例第 4 号)並びに飯能市開発行為に関する指導要綱 
(昭和 56 年告示第 229 号)等を順守し、計画の実行に必要な手続等については、事 業者自らの責任及び費用負担により行うこと」としている。 

環境影響評価(環境アセスメント)は、大規模な開発事業が環境に及ぼす影響につ いて、その事業の実施前に事業者自らが環境への影響を調査・予測・評価し、これを公表するとともに、地域住民等から環境保全上の意見を聴き、これを事業計画に反映 させることにより、公害の防止や自然環境の保全を図るための制度である。

環境アセスメントには、国の法令によるもの、県の条例によるものがあり、それら によれば、阿須山中土地有効活用事業については、環境アセスメント実施の適用対象 外ということになる。 

環境アセスメントの種類及び阿須山中土地有効活用事業との関係については、次のとおりである。 

〇 「環境影響評価法」に基づくもの 

令和 2 年 4 月 1 日に改正され、新たに太陽光発電が追加された。 環境アセスメントが必要となるのは、定格出力が 3 万kw以上であるが、阿須山中土地有効活用事業については、第 1~4 発電所の合計で 6,360kwであるため、 環境影響評価法の適用対象外である。 

〇 「埼玉県環境影響評価条例」に基づくもの 

施行区域の面積が 20ha 以上の場合に環境アセスメントが必要となるが、阿須山中土地有効活用事業の工事区域の面積は全体で 18.8269ha であるため、埼玉県環境 影響評価条例の適用対象外である。 

なお、本市は太陽光発電施設の設置に関するガイドラインを有している。 

飯能市太陽光発電施設の設置に関するガイドライン 

平成 31 年 2 月 1 日に制定し、令和 3 年 5 月 1 日の改正前までは、「既存の地形や 樹木等を生かしながら、周囲の良好な景観に支障を与えないよう、周辺環境や景観との調和に配慮すること。」としていた。 
阿須山中土地有効活用事業については、当該ガイドラインに基づき、確認を受けている。 

なお、現行では、「第 6(5)自然環境への配慮」という標題を設け、「ア 立木の 伐採は自然環境に配慮し必要最小限にとどめ、既存樹木を活かすように努めること。」及び「イ 希少動植物の保護や生態系の維持に配慮した設備の設置及び工事の 実施に努めること。」としている。 

⑬ コクラン等の移植作業に係る報告の内容について

令和 2 年 11 月 20 日に実施されたコクラン移植作業時に加治丘陵の自然を考える会・飯能(以下「考える会」という。)のメンバーがコクランを踏みつけたとする事案である。 

令和 2 年 12 月 15 日にあった大津力議員の一般質問に対する市の答弁と、当該答弁の根拠となった「阿須山中土地有効活用事業におけるコクランを中心とした植物貴重種の移植について(報告)」及びコクラン移植作業に立ち会った職員への聞き取り調 査の結果を市ホームページで公開していることに対して、事実に反するということを理由に、考える会が市に対して答弁の撤回、修正と謝罪を求めること及び聞き取り調査の結果の撤回とホームページ上での公開を停止することを求めているものである。 

市は、考える会の抗議を受けたことから、阿須山中土地有効活用事業に直接関わりのない中立的な立場にある職員が、コクラン移植に立ち会った職員に作業中の様子の聞き取りを行い、移植作業報告書と答弁内容を確認し、移植作業報告書及び産業環境部長の答弁に事実誤認や虚偽がないことを確認している。 

⑭ コクラン移植後の生態、他希少生物への影響について、カモシカ等動物の生態への影響について

コクランの残置森林への移植は、令和 2 年11 月20 日及び同年 12 月18 日の 2 回行われている。 

コクラン移植後の生態、他希少生物への影響については、埼玉県希少野生動植物の 種の保護に関する条例に基づき、「移植後 3 年間モニタリングを実施し、調査結果を 年 1 回以上報告すること。」とする条件が付されていることから、アカデミーでは、 移植したコクラン等について 6 か月ごとにモニタリングを実施し、個体数の確認を行 っている。モニタリングは、これまでに 2 回(令和 3 年 6 月 21 日及び同年 12 月 14 日)実施されており、その結果については、アカデミーから市長に報告書の提出があ り、市ではこれをホームページ上で公表している。 

カモシカ等動物の生態への影響については、議会では「阿須山中の開発に伴い野生動物が入間市側、青梅市側に移動していることは十分考えられます。しかしながら、 こうした野生生物は同様の環境の中で日常的に山林を移動しながら生息していたも のと考えており(中略)、山林を完全に分断するような開発である場合には野生生物 も分断されてしまいますが、本開発地の改変区域の外周には残置森林もあり、さらにはその外部には多くの森林を有していることから、その移動範囲の変更はあったとし ても、それにより野生生物への影響はわずかではないかと考えております。しかしな がら、開発地域を自由に移動できたものが少なからず制約を受けることは確かであるため、これからも残置森林をしっかりと管理、保護することによりまして生態系にで きるだけ影響が出ないよう保全してまいりたいと考えております。(※令和 3 年第 3 回市議会定例会 6 月 16 日/長谷川順子議員の一般質問に対する産業環境部長答弁)」と説明している。

残置森林の活用により、野生生物の生態への影響を可能な限り抑制していくことが示されている。

⑷ 防災面について 

⑮ 事業の実施に伴う土砂災害等の影響について【※技術顧問による検証】

本市の技術顧問に依頼し、「埼玉県林地開発許可事務取扱要領 別記 開発行為の許 可基準(以下「基準」という。)」、「飯能市宅地造成工事等技術指針(以下「指針」と いう。)」等に基づき計画・施工がなされているか、現地確認のほか、林地開発許可申 請に係る次の書類の確認を行い、その影響について検証した。 
・雨水排水流量計算書 ・下流部水路のネック地点における比流量確認 ・防災施設設計計算書(サッカーグラウンド調整池、調整池) 
・暗渠排水流量計算書 ・土量計算書 ほか 

技術顧問による確認結果の概要は次のとおりである。 

〇 切土法面 
指針に基づいて計画、施工されており問題なし 

〇 盛土法面 
指針に基づいて計画、施工されており問題なし 

〇 雨水排水計画 
問題なし。ただし、区域内に設置する水路(側溝等)において、流速が一般的 な速度を超えている。排水に問題はないが、降雨時に水路内に人がいた場合に足 を取られたり、流されたりする心配がある。 

〇 調整池 
・ 基準どおりで問題なし 
・ 安全側に寄せて検討されている。 
・ 唐沢川を入間川との合流地点まで踏査して狭隘部を調査した。通常降雨の場 合では、下流河川への影響はないと判断できる。 
・ 図面上、マンホール高 5 メートル以上の場合に設けられる踊り場の設置が確 認できなかった。 

〇 防災工 
工事中の対策について問題なし

〇 その他 
・ 擁壁の根入れについて、一部図面では確認できない部分があったが、現地で の確認では特に問題はみられなかった。 
・ 尾根南側のパネル設置斜面について、伐採のみで伐根・造成を行わない計 画となっているが、将来不安定化するリスクは小さいと判断できる。 

〇 総括 
・ 全体として、基準や指針に基づいて計画されている。項目によっては、安 全側に検討されていると判断した。 
・ 現地の地盤や土質は安定している。周囲に崩れている場所も見当たらない。 ・ 造成工事は適当かつ計画通りに施工されていると判断できる。 ・ 一部、区域内に設置する排水設備(側溝等)の流速が速い。雨水排水によ 
る安全性には影響ないが、人が足を取られるなどの心配がある。場所によっ ては、人が落ちないための対策を施すとよい。

⑸ 土地の区画形質の変更に伴う手続等について 

⑯ 法面をサッカーグラウンドの面積に含めないこととする根拠について

法面については、サッカーグラウンド及び太陽光発電施設の工事を同時に行い、サ ッカーグラウンド用地及び太陽光発電施設用地の両方に接していることから、それぞ れの計画地盤高を比較して、計画地盤の高い太陽光発電施設用地に含むものと判断さ れている。 

これは、法面地や擁壁などの境界の考え方において、一般的に法面は上の土地に属 するものとされていること、また、指針に定められた敷地境界においても同様の取扱 いをしていることから適当であると判断されている。 

また、阿須山中土地有効活用事業におけるサッカーグラウンドが都市計画法(以下 「法」という。)に定める開発行為の許可対象とならなかったことについては、法は、 「「開発行為」とは、主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的 
で行う土地の区画形質の変更をいう。(法第 4 条第 12 項)」とし、法第 4 条第 11 項に おいて、「ゴルフコースその他大規模な工作物で政令で定めるもの」を「第二種特定 工作物」と定め、第二種特定工作物に該当するものは、都市計画法施行令第 1 条において、「その規模が 1 ヘクタール以上のものとする」としているためである。 

サッカーグラウンドはその規模により当該第二種特定工作物に該当するが、阿須山 中土地有効活用事業におけるサッカーグラウンドについては、接続する路地状敷地を 加えても 1ha 未満の計画であることから、第二種特定工作物には該当せず、法第 4 条 第 12 項に基づく開発行為には当たらないため、法第 29 条第 1 項に基づく開発許可の 対象にはならないとされた。 

阿須山中土地有効活用事業におけるサッカーグラウンド法面の取扱いについては 以上のとおりであり、当該法面については太陽光発電施設用地に含まれ、サッカーグ ラウンドについては全体で 1ha 未満とした事業計画は、これまでの市の指針、運用に基づくものであることは確認できた。 

なお、「今後においても、開発指導の中で疑義が生じないよう、開発区域の捉え方等について基準の明確化を進めるとともに、慎重に取り組む必要がある」との座長の意見があった。 

太陽光発電施設の管理通路について

サッカーグラウンドは太陽光発電施設の雨水調整池を兼ねていることから、土砂が堆積した場合の浚渫しゅんせつ及び調整池機能の維持・管理のため、太陽光発電施設の管理通路がサッカーグラウンドに接続している。

開発区域を判断する場合、当該開発行為の目的が大きな判断基準とされている。サッカーグラウンドは路地状敷地によって既存道路に接する設計となっていること、管理通路は太陽光発電施設の調整池の維持管理を目的としていること、サッカーグラウンドへの出入り口には鍵付きのフェンスが設置され、維持管理以外の場合には通行できないような設計となっていることなどから、サッカーを目的とした利用時の進入道路としては想定していないと判断されていることには妥当性があるといえる。 

⑱ サッカーグラウンド部分の面積の相違について

事前協議によるサッカーグラウンドの面積は 0.9768ha(グラウンド:0.9254ha、路地状敷地:0.0514ha)であるのに対し、林地開発許可における調整池(サッカーグラウンド部分)の面積は 1.4629 ㏊となっており、両者の間に相違がみられる。  

0.9768ha はアカデミーが行った市への事前協議によるサッカーグラウンドの面積 であり、1.4629ha についてはアカデミーが林地開発許可申請時に提出したサッカー グラウンド用地として設定した開発区域の面積である 3.1632ha から、残置森林 1.306ha、造成森林 0.319ha、道路用地 0.0343ha、河川用地 0.041ha を除いた面積と なる。 

申請目的、申請先機関が異なることから、それぞれに計画図が作成されており、面積に相違が生じたものであるが、各申請先機関ではその行為の目的に応じて審査等が行われた。 

サッカーグラウンドの事前協議においては、アカデミーから申請された計画面積が 1ha 未満であったことから、都市計画法の第二種特定工作物には該当せず、同法に基づく開発許可の対象とならないと判断されている。 

なお、サッカーグラウンドと調整池が重なって整備される計画であり、目的に応じて二つの面積が存在するが、それぞれの面積の使い分けについて説明する資料は確認することができなかった。 

⑲ 林地開発許可申請の添付書類(説明会出席者名簿)について

アカデミーが林地開発許可申請に際して埼玉県に提出した住民説明会の実施報告 書には、説明会への出席者一覧が添付されており、報告書の概要部分に「また、参加者は本説明内容に基づく事業の実施について同意する。」との表記がされていた。 この説明会は、林地開発許可前のまだ内容が確定していない令和元年 7 月 28 日及び 8 月10 日にアカデミーが開催した説明会であり、報告書に事業の実施に同意するという記述があることについて、市も事前に知らされていなかったものである。

この住民説明会実施報告書に記載された同意表記については、林地開発許可申請に当たって求められたものではなく、許可要件に影響を与えるものでないことは、埼玉県に確認されている。林地開発許可申請に添付する書類に「開発区域周辺の地権者等 の同意書」があるが、これは隣接する地権者一人一人から得られた同意を県様式に基 づいて提出されているものであり、説明会の参加者名簿とは別のものである。

また、この住民説明会については、国において示している太陽光発電施設の設置を目的とした開発行為の許可基準の運用細目において、その他の配慮事項として、「太陽光発電施設の設置を目的とした開発行為については、防災や景観の観点から地域住民が懸念する事案があることから、申請者は林地開発許可の申請前に住民説明会の実施等地域住民の理解を得るための取組として実施することが望ましい」とされている ことからも、開催されたものと考えられる。 

当該許可申請書に添付されている説明会の実施報告書に事業に同意する旨を表記したことは、説明会参加者が同事業に同意するとの誤解を与えかねず、疑念を抱かせる可能性もあり、慎重に作成するべきであったと考える。 

⑳ 県道から新たに築造された私道について

県道二本木飯能線から西へ向かって新たに築造された私道は、阿須山中地区で事業 を行っている事業者で構成された飯能阿須山中活性化推進委員会によって整備されたものである。当該推進委員会の構成員の各事業に関係する車両が、阿須自治会館を利用する方や近隣住民の生活道路となっている市道(第 1 地区第 2327 号線)を利用せざるを得ない状況にあり、近隣住民に迷惑をかけていることから、その課題解決を 図ることを整備の目的としている。当該私道の整備に当たっては、飯能市開発行為に関する指導要綱第 5 条第 1 項第 4 号に基づき、当該推進委員会と市との間で事前協議が行われている。 

また、当該私道が唐沢川を横断する部分に架かる橋に関しては、埼玉県飯能県土整 備事務所へ「砂防指定地内の行為協議書」及び「国土交通省所管公共財産の使用許可申請書」の申請が必要であったが、埼玉県からは道路を築造する当該推進委員会からの申請ではなく、公的機関(飯能市)による申請が求められた。 

本来であれば事業者が申請すべきものであったが、埼玉県と協議した結果、当該私道の設置目的が地域の課題を解決し、地域住民の安心安全な生活に資するものであることから、申請者を当時の市長名として申請し、市として協力したものである。 当該私道は設置者のみでなく、一般利用者の通行も可能となっている。また、整備により、住宅地周辺の車両通行量も緩和され、地域課題の解決が図られたものである。

3 総轄 

阿須山中土地有効活用事業(以下「事業」という。)は、「飯能市市有財産に関す る民間事業者提案制度」により、飯能市飯能市土地開発公社が所有している飯能市大字阿須山中地内に所在する市有地の有効活用を目的として、地方創生の観点から広く民間事業者からの提案を求めることとして、平成 29 年 10 月に公募要領を定 め、事業者の公募が行われた。 

選定委員会は、市職員 11 名が委員となり、公募要領の決定、事業提案の審査及び最優秀提案事業者等の決定に携わった。 

事業への参加表明は 3 者からあり、うち 1 者が辞退し、2 者が事業提案に進んだ。 事業者選定に当たっては、2 者から提出された事業提案を、公募要領の審査基準に 従い審査した。 

選定結果は、各選定委員の評価の総合点により、提案内容が「サッカーを通じた人材育成(メイン事業)及び太陽光発電事業(附帯事業)」であるアカデミーが最 優秀提案事業者に決定され、平成 30 年 2 月にその結果を公表した。 

市は、最優秀提案事業者に決定したアカデミーと、平成 30 年 7 月に「阿須山中 土地有効活用事業に関する覚書」を、令和元年 9 月に「土地有効活用事業に関する 基本協定」を、同年 10 月に「土地有効活用事業に関する基本協定の細目に係る覚書」を、同年 12 月に「土地賃貸借契約」をそれぞれ締結した。 

なお、土地の賃貸借料の年額 120 万円の根拠は、市が公募要領で示した最低賃借料(月額 72,660 円)を上回り、アカデミーが提案した「月額 100,000 円」が基礎 となっている。 

本事業の事業用地は約 18.8ha(18.8269ha)であり、調整池も兼ねるサッカーグ ラウンドは路地状敷地も含み約 0.98ha(0.9768ha)、その他は太陽光発電所用地、 残置森林、造成森林、造成緑地、調整池、路地状敷地、道路用地、水路用地及び河川用地である。 

課税面では、市有地が事業用地のほとんどを占め、当該部分については、地方税 法の規定により非課税である。ただし、市有地以外の事業者が所有している土地に ついては、固定資産税の賦課期日である 1 月 1 日の現況、利用状況等によって地目認定が行われ課税される。 

土地については、事業開始前、山林や雑種地であった土地が、雑種地又は雑種地 (太陽光発電施設用地)へと地目が変更されるため、税額としては増額となる見込みである。また、太陽光発電設備やサッカーグラウンド、照明、ゴール、トイレな どの設備については償却資産の扱いになり、税額については取得価額を基礎として法定耐用年数及び取得後の経過年数に応ずる減価を考慮して計算される。

環境面では、公募の段階から事業者の責任で関係法令、飯能市環境保全条例、飯能市開発行為に関する指導要綱等を順守することとなっているほか、計画の実行に必要な手続については事業者自らの責任及び費用負担により行うこととしてい る。 

なお、本事業は法又は埼玉県条例に基づく環境アセスメントの対象外であること から、同調査は実施されていない。 

事業地内で発見された県の希少野生動植物種である「コクラン」は、埼玉県との 協議を経て、アカデミーにより適正に残置森林へ移植がされている。  建設関係については、必要な手続を経て工事が進められている。 サッカーグラウンドを支える法面については、市の指針等で上の段に属すること とされているため、切土や盛土で生じる法面の最下部の端である法尻を境として、 1ha を下回るサッカーグラウンドについては、都市計画法に基づく開発許可の対象にはならないとされた。 

なお、今後においても、開発指導の中で疑義が生じないよう、開発区域の捉え方 等について基準の明確化を進めるとともに、慎重に取り組む必要がある。

本事業については、これまで庁議、調整会議などを経て、また、長い時間をかけ て議会で議論がされてきている。そして、法令等に基づき必要な手続を踏み、事業 は進められており、現在に至っている。 

検証委員会では、公募要領策定前から事業者選定に至る一連の庁内での意思決定 過程、工事関係も含めたアカデミーに関する資料等、担当課が保存する公文書を確 認するとともに、担当者等からヒアリングを行ったが、法令等に基づく手続におい ては、問題となる取扱いは確認されなかった。しかし、検証に当たって確認作業を 進める中で、検証委員会としては次の見解を持つに至った。 

本市は、「森林文化を市民協働で育て、誰もが魅了されるオンリーワンの森林文 化都市」を目指している(「第5次飯能市総合振興計画 基本構想 第3章 将来都市像」)。

法的には開発区域が20ha を下回るなどの理由から環境アセスメントの実施は必要ではなかったが、本事業の用地が自然豊かな阿須山中であることを鑑み、事業者公募以前に住民説明会、意見交換会等を実施するべきではなかったか。

事業地の排水計画については、本市の技術顧問による検証により、計画上は問題なしとの意見が示されたが、事業地近くの地域住民の中には防災面に対する不安をお持ちの方がいらっしゃることからも、丁寧な対応を継続していくことが必要である。 

今後、市及びアカデミーは、不安や疑念を抱かれることがないような事業運営に 努め、市民の信頼を得ながら本事業を進めるべきであると考える。

参考

阿須山中土地有効活用事業検証委員会等の開催状況 

【検証委員招集】 令和 3 年 10 月 27 日(水) 17:00~17:30 市長室 検証委員4人が招集され、事業に関する検証を行うことについて、市長から指示を受け た。 
・ 検証すべき項目について、市長から具体的に指示があった。 

【検証委員ミーティング①】 11 月 5 日(金) 13:30~15:00 庁内会議室 検証委員4人でミーティングを実施した。 
・ 今後の進め方について 
・ 技術顧問への依頼について 
・ 現地確認の日程調整について 

【検証委員ミーティング②】 11 月 8 日(月) 15:00~17:00 庁内会議室 管財課へのヒアリングを実施した。 
・ 月額賃料の根拠について 
・ 土地賃貸借契約について 
太陽光発電事業の経緯及び事業者の実績について 

【検証委員ミーティング③】 11 月 11 日(木) 10:00~12:00 庁内会議室  13:00~16:30 庁内会議室 市長から指示があった検証事項について整理した。 
・ 賃料の根拠について 
・ 事業者選定の経緯について 
・ 民間事業者提案制度の開始時期及び適用した事業について 
太陽光発電事業を行うこととなった経緯について 
・ 最優秀提案事業者の太陽光発電事業に関する実績について 
【検証委員ミーティング④】 11 月 15 日(月) 9:30~11:30 庁内会議室 次の事項に関する確認及び管財課へのヒアリングを実施した。 
・ 事業に伴う固定資産税額(償却資産及び土地)について 
・ 土地の課税地目について 
・ 阿須山中土地有効活用事業の経過について

【検証委員ミーティング⑤】 11 月 15 日(月) 14:00~16:00 庁内会議室 次の事項に関する確認及び地方創生推進室へのヒアリングを実施した。 ・ 技術顧問相談願の内容確認 
・ 事業構成団体について 
・ 雨水排水計画の概要について 
・ サッカー事業の現状について 
・ 林地開発許可について 
・ 現地確認の日程調整について 

【市長確認】 11 月 16 日(火) 16:45~17:00 市長室 
技術顧問への相談事項について、市長に確認した。 
・ 開発区域内の造成について、その断面や構造について再確認すること。 ・ 開発区域内だけではなく、唐沢川下流域を含めた安全性や課題を調査すること。 市長の確認後、技術顧問に相談を依頼した。 
【現地確認】 11 月 19 日(金) 13:00~15:00 
検証委員による現地確認を実施した。 
施工者の説明を受けながら、現地を一通り確認した。 
入口部分、サッカーグラウンド予定地、尾根部分、南側調整池、西側造成部分、北側 谷津部分 

【技術顧問打合せ(第 1 回)】 11 月 25 日(木) 16:00~17:00 庁内会議室 市長出席のもと、技術顧問との打合せを実施した。 
 市長、検証委員 4 人、技術顧問 3 人 
・ 技術顧問には、技術的な見地から造成工事、排水計画等について検証し、アドバイス をお願いしたい。 
・ 造成等は、県の林地開発許可に基づいて行われている。 
・ 令和元年台風第 19 号では、民家の基礎がえぐられる箇所があり、地元では台風や大雨 時の流量を懸念している。 
・ 調整池について、計算上は大丈夫であるが、再度確認してほしい。 ・ 技術顧問として現地確認を行いたい。(後日、日程調整) 

【検証委員ミーティング⑥】 11 月 26 日(金) 9:30~12:00 庁内会議室  市長への中間報告に向けた準備を行った。 
・ 中間報告内容の確認 
・ 提示資料の確認 

【市長への中間報告(第 1 回)】 11 月 26 日(金) 15:00~16:00 市長室 次の事項について、市長への報告を行った。 
① 事業者選定・太陽光発電事業の経緯について 
・ 年間賃料を 120 万円とした根拠について 
・ 民間事業者提案制度の開始時期及び適用実績について 
・ 提案者の中から最優秀提案事業者に決定した経緯について(件数・視点) ・ 太陽光発電事業を行うこととなった経緯について 
・ 最優秀提案事業者の太陽光発電事業に関する実績について 
② 課税面に関することについて 
・ 課税地目の扱いについて 
ソーラーパネルの課税上の扱い(償却資産)について 
<今後確認作業を進める項目について> 
・ 市有林を伐採してサッカーグラウンドにすることについて、森林文化都市としてど う考えるか。 
・ 環境に関する調査について 
・ 排水計画の唐沢川への影響について(技術顧問) 
・ サッカーグラウンドの開発面積を 1 ㏊未満とした根拠について 

【技術顧問による現地確認】 12 月 6 日(月) 9:30~12:00 
技術顧問(4 人)による現地確認に際し、検証委員 2 人が同行した。 
技術顧問による現地確認を実施した。 
施工者の説明を受けながら、現地を一通り確認した。 
サッカーグラウンド調整池排水塔、北側谷津造成部分(圧送部分・施工中)、同施工状 況、北側斜面造成状況、造成エリア外縁側溝、南側斜面(伐根・造成なく伐採のみ)、 南側調整池及び既存水路への排水部分(施工中)、サッカーグラウンド造成部分、唐沢 川の状況(北側谷津2か所)、唐沢川下流域断面の確認(開発区域から下流入間川と の合流部分まで) 

【検証委員ミーティング⑦】 12 月 14 日(火) 9:30~11:00 庁内会議室 ・ 12 月 6 日に実施した技術顧問による現地確認の状況についての情報共有など 

【検証委員ミーティング⑧】 12 月 16 日(木) 9:00~11:30 庁内会議室 まちづくり推進課へのヒアリングを実施し、サッカーグラウンド部分の開発面積(1 ㏊)、 事前協議等について確認を行った。 
・ 開発行為事前協議の適用について 
・ 今回のサッカーグラウンドが、都市計画法上の開発行為の許可対象とならない理由に
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ついて(都市計画法上の開発の取扱い) 
・ サッカーグラウンドの開発面積について(周辺法面の考え方) 

【検証委員ミーティング⑨】 12 月16 日(木) 13:30~15:00 庁内会議室 関係職員へのヒアリングを実施し、環境に関する状況について確認を行った。 ・ 市有林を伐採してサッカーグラウンドにすることについて、森林文化都市としてどう 考えるか。 
・ 環境に関する調査の実施について 
・ コクラン移植作業について 

【検証委員ミーティング⑩】 12 月16 日(木) 15:30~16:00 庁内会議室 関係職員へのヒアリングを実施した。 
・ 選定委員会について 

【検証委員ミーティング⑪】 12 月 21 日(火) 13:15~14:30 庁内会議室 12 月 22 日に行う市長への報告内容について検討と整理を行った。 

【技術顧問打合せ(第 2 回)】 12 月22 日(水) 15:30~17:05 庁内会議室 市長出席のもと、技術顧問との第 2 回打合せを実施した。 
技術顧問による検証について、中間報告を受けた。 
 市長、検証委員 4 人、技術顧問 3 人 

【市長への中間報告(第 2 回)】 12 月22 日(水) 17:10~18:00 庁内会議室 第1回中間報告時点で報告未了となっていた次の項目について、市長への報告を実施し た。 
① 環境面について 
・ 市有林を伐採してサッカーグラウンドにすることについて、森林文化都市としてど う考えるか。 
・ 環境に与える影響を調査をしなくて本当によかったのか。 
② 防災面について 
・ 排水計画の安全性に関する検証(技術顧問による報告) 
・ サッカーグラウンドの開発面積(1㏊)の根拠について 
<市長指示> 
・ 検証事項を一部追加すること。 

【検証委員ミーティング⑫】 12 月23 日(木) 13:00~13:30 庁内会議室
検証事項の追加に関する市長指示について、情報共有を行った。 

【検証委員ミーティング⑬】 令和 4 年 1 月 27 日(木) 14:15~14:45 庁内会議室 追加の検証事項に関して情報共有を行った。 

【市長への報告】 1 月 27 日(木) 16:10~16:35 市長室 
追加の検証事項に関する資料について、市長へ提出した。 

【検証委員ミーティング⑭】 2 月 1 日(火) 14:00~16:00 庁内会議室 追加の検証事項に関する内容確認を行った。 

【検証委員ミーティング⑮】 2 月 16 日(水) 9:30~11:30 庁内会議室 追加の検証事項に関する内容確認を行った。 

【市長・副市長との打合せ】 2 月 16 日(水) 16:50~17:15 市長応接室  市長、副市長、検証委員 4 人 
2 月21 日(月)に実施する検証委員会の進め方について打合せを行った。 

【検証委員ミーティング⑯】 2 月18 日(金) 13:15~20:00 庁内会議室 検証委員会に向けた整理、準備を行った。 
・ 報告内容の検討、整理等 

【検証委員ミーティング⑰】 2 月21 日(月) 13:30~14:30 庁内会議室 検証委員会に向けた準備を行った。 
・ 報告内容の整理、根拠資料等の確認 

【検証委員会(第 1 回)】 2 月21 日(月) 15:00~18:30 庁内会議室 市長、副市長、検証委員 4 人 
報告は検証項目ごとに行い、内容を確認する進め方とした。 
・ 賃貸借料が年間 120 万円となることの根拠について 
飯能市市有財産に関する民間事業者提案制度はいつから開始され、どの場所を適  用させているか。阿須山中の土地以外での実績はどうか。 
・ 提案者の中から一般社団法人飯能インターナショナル・スポーツアカデミーを最 優秀提案事業者に決定した経緯について、何件の応募があり、どのような過程・視 点で決定に至ったか。 
太陽光発電事業を行うこととなった経緯について
・ アカデミーの太陽光発電事業の実績の有無について 
・ 阿須山中の土地の課税面の扱いはどのようになるか。 
太陽光発電パネル等の課税面の扱いはどのようになるか。 
・ 伐採木の処分について 
・ 市有林を大きく伐採してサッカーグラウンドにすることについて、森林文化都市 としてどう考えるか。 
・ 環境に与える影響を調査しなくて本当によかったのか。 
・ コクラン等の移植作業に係る報告の内容について 
・ 事業の実施に伴う土砂災害等の影響について【技術顧問による検証】 ・ 法面をサッカーグラウンドの面積に含めないこととする根拠について ・ 太陽光発電施設の管理通路について 
・ サッカーグラウンド部分の面積の相違について 
・ 林地開発許可申請の添付書類(説明会出席者名簿)について 
・ 県道から新たに築造された私道について 
<市長から> 
引き続き精査が必要な項目もある。また改めて開催することとする。 

【検証委員ミーティング⑱】 3 月 18 日(金) 13:30~14:15 庁内会議室 技術顧問報告書の内容確認を行った。 

【技術顧問報告書 市長、副市長報告】 3 月 25 日(金) 17:00~18:00 市長室 技術顧問報告書について市長、副市長に確認を行った。 
・ 技術顧問報告書について、3 月 18 日に確認した内容とすることで承認を得た。 

【技術顧問 報告書内容確認】 3 月 28 日(月) 13:40~14:10 庁内会議室  技術顧問 1 人、検証委員 2 人 
技術顧問報告書について確認を行った。 
・ 南側調整池管理用通路の勾配に関する結果を、報告書としてまとめてもらうこと。 

【技術顧問報告書 市長、副市長報告】 3 月 30 日(水) 11:00~11:15 市長室 技術顧問報告書について市長、副市長に報告を行った。 

【検証委員ミーティング⑲】 4 月 12 日(火) 13:30~15:30 庁内会議室 追加の検証項目についての情報共有、内容整理を行った。 
・ 市長から 3 月議会の内容を踏まえて 3 点の確認項目が追加されたこと。 ・ 検証の方法について協議を行った。
サッカー場太陽光発電の立地割合が 1:10、駐車場がない、トイレが仮設であ る、観覧席もないことなど、サッカー場としての機能が決定事業者として妥当であ るか。 
② 住民説明会の時期の設定、案内、配布資料に太陽光発電施設に係る説明が不足し ていたことについて 
③ コクラン移植後の生態、他希少生物への影響について、カモシカ等動物の生態へ の影響について 
【検証委員ミーティング⑳】 4 月 19 日(火) 9:30~11:30 庁内会議室 追加の検証項目について確認作業を行った。 

【検証委員ミーティング㉑】 4 月 19 日(火) 13:30~16:30 庁内会議室 追加の検証項目について確認作業を行った。 
・ 関係課の保管する資料を基に事実確認作業を行った。 

【検証委員ミーティング㉒】 5 月 10 日(火) 13:30~16:30 庁内会議室 追加の検証項目について確認作業を行った。 

【検証委員ミーティング㉓】 5 月 13 日(金) 13:30~15:00 庁内会議室 追加の検証項目について確認作業を行った。 

【検証委員会(第 2 回)】 5 月 16 日(月) 8:45~9:50 庁内会議室 市長、副市長、検証委員 4 人 
追加検証項目を中心に項目ごとに報告し、内容を確認する進め方とした。

サッカー場太陽光発電の立地割合が 1:10、駐車場がない、トイレが仮設である、 観覧席もないことなど、サッカー場としての機能が決定事業者として妥当であるか。  ・ 住民説明会の内容について 
・ コクラン移植後の生態、他希少生物への影響について、カモシカ等動物の生態への 影響について 
<市長から> 
一部内容について、文言を整理すること。 
検証結果は、全員協議会で報告し、公表する。 
【検証委員ミーティング㉔】 5 月 17 日(火) 9:30~11:00 庁内会議室 検証報告書の市長指示事項について、文言を整理した。

【検証委員ミーティング㉕】 5 月 20 日(金) 17:40~18:15 庁内会議室 検証報告書の文言について確認した。 

【市長、副市長報告】 5 月 23 日(月) 9:30~10:15 市長室 検証報告書について確認を行った。

地方自治法 抵触の恐れも

概要

飯能市阿須山中土地有効活用事業は、市有地(山林)17haの事業者に対する貸付事業である。賃料は年120万円。土地賃貸借契約は2年ごと最長30年の更新が可能。

市有地17haに公募選定後事業者取得民地1.8haを加えて全開発面積18.8269ha。うち主要施設とされる「地方創生に資するサッカー場」0.9768ha。付帯施設メガソーラー17.8501haは全開発面積の95%。資金の大部分はこの「付帯施設」建設・運営に投じられる

この飯能市・阿須山中土地有効活用事業は、次の2点で地方自治法に違反している可能性がある。

1.適正対価なき市有地貸付

当事業の公募時最低賃料は、周辺区域 の市場価格及び不動産鑑定士等の客観的適正な見解を反映したものではなく、窓意的に安価な地価を反映したものであり、「適正な対価なき貸し付け」に該当する。

事業者の提案賃料が採用され、土地賃貸借契約の賃料に設定、公募時最低賃料を上回ったが、やはり、同様の理由で「適正な対価なき貸し付け」に該当する。

地方自治法に定める議決事件であるにも関わらず、議会に諮らず、市長専決処分として、この契約を締結したことは、地方自治法第96条第1項および第237条第2項に抵触する。したがって、本来的に、この土地賃貸借契約は無効と考えられる。

2.適正対価なき伐採木譲渡

飯能市は、阿須山中市有地内の立木の伐採木を事業者に無償譲渡したことが、議会での答弁や開示情報で判明している。この伐採木は有価物であり市有財産である。

この伐採木の無償譲渡は地方自治法に定めた「適正な対価なき譲渡」であるにもかかわらず、議会議決に諮らず、市長専決処分としたことは、「1.」と同様に、地方自治法第96条第1項および第237条第2項に抵触する可能性がある。この不適正取引を定めた、土地賃貸借契約書細目覚書は、本来的に無効と考えられる。

3.補足情報

飯能市議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例

市有地の貸し付け及び市有林伐採木の無償譲渡を議会議決に付すべき根拠をこの市条例に求めるべき、との見解が流布されているが、次に示す通り、財産貸付・無償譲渡を対象としないため、議決事件となるべき根拠にならない。

対象物件等
  • 予定価格2,000万円以上の不動産(土地については1件5,000m2以上に限定)
  • 予定価格2,000万円以上の動産
  • 不動産の信託の受益権
対象取引
  • 買入れ
  • 売払い

飯能市議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例

参考

地方自治法 関連条項

(議決事件)第96条 普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。 (1)~(5)略
(6)条例で定める場合を除くほか、財産を交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けること。 

(財産の管理及び処分)第237条 第2項 第二百三十八条の四第一項の規定(※)の適用がある場合を除き、普通地方公共団体の財産は、条例又は議会の議決による場合でなければ、これを交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けてはならない。

※行政財産に関する条項。当該市有地は普通財産であり該当しない。

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